日本経済新聞によれば、商品市況の回復を受けオーストラリアを拠点にする資源大手が、設備投資拡大に動き始めました。豪英BHPビリトンは20日、2018年6月期の設備投資を前の期比32%増やすと発表し、英豪リオ・ティントも鉱山開発を加速します。背景にあるのは中国などで進む電気自動車(EV)の普及です。銅やリチウムなどのEV向けの需要増をにらみ、各社とも動きを活発化させています。
BHPビリトンは18年6月期の設備投資・探査費を69億米ドル(約7400億円)と、前期の52億2000万米ドルから増やします。主力の鉄鉱石や石炭事業の維持・更新や生産性の向上に投じることに加え銅開発も積極化します。中国などで普及が進むEVに不可欠な銅の開発を進めます。 2月上旬には豪州のオリンピック・ダム銅鉱山で3億5000万豪米ドル(約300億円)を投じた設備更新が完了、鉱区の大型拡張も予定しています。18年6月期の銅の生産量は前期比25~35%増を見込んでいます。 アンドリュー・マッケンジー最高経営責任者(CEO)は20日の投資家説明会で「EVの普及に向かう流れから収益を得る最善の方法は、銅事業の拡大にある」と述べ、増産に強気の姿勢を見せました。将来の成長への投資となる探査でも注力するのは銅です。マッケンジー氏は「南米エクアドルで銅開発の探査権を獲得した」と明らかにしました。 BHPによると、EVに使用する銅は80キロでガソリン車の4倍だということ。17年7~12月期のBHPの銅の販売価格は1ポンド3.2米ドル(1トン7054米ドル)と前年同期比33%上昇。チリのエスコンディダ銅鉱山の増産がけん引し、生産量は同17%増えました。銅事業の収益力を示すEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は同83%増でした。 一方、リオ・ティントも資源ブームの終息で抑制してきた設備投資を復活させる兆しを見せます。17年1~12月期に44億8200万米ドルだった設備投資費を18年は55億米ドル、19年は60億米ドルへと徐々に上積みする方針です。 リオは世界各地に食指を伸ばしています。銅は需要が伸びる一方、銅の純度が高い鉱山は世界的に枯渇しつつあります。同社はモンゴルで銅金鉱山を開発・運営する子会社に加え、今年1月には首都ウランバートルに新たに事務所を開設。セルビア政府とは17年、EV電池に使われるリチウム採掘の推進で覚書を交わしました。 豪鉄鉱石大手フォーテスキュー・メタルズ・グループもエクアドルやコロンビア、アルゼンチンで銅の探査を開始し、資産の多様化に着手しました。 ただ、せっかくの投資も、欧州や中国・インドなどEVシフトを加速させている国々の政策変更などの影響を受けかねません。中国政府は14日、EVとプラグインハイブリッド車(PHV)に対する販売支援を目的とした補助金制度の改正を発表しました。補助金をこれまでより約3割減らす方針です。また、15日にはインドの閣僚がEV普及に向けた政策を打ち出すことを撤回する姿勢を示すなど不確定要素も多いようです。 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO27200290R20C18A2FFE000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: https://www.j-abc.com/blog/australian-miners-ramp-up-investment-in-electric-vehicle-metals
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