第7回: オーストラリアにおける研究開発(R&D)補助制度
研究開発(R&D)費の税控除制度は、研究開発を支援するオーストラリアの主要イニシアチブとして、技術革新と競争性・生産性の向上に欠かすことの出来ない研究開発を手がける企業に投資することの重要性を再確認するものであります。この新たな税控除制度は2011年7月1日以降の所得年度に適用されています。R&Dの詳細については、以下のbusinss.gov.auやInvest Victoriaのウェブサイトをご参照ください。
http://www.business.gov.au/grants-and-assistance/innovation-rd/RD-TaxIncentive/Pages/default.aspx#
http://www.invest.vic.gov.au/r-n-d-tax-incentive
1. 研究開発費の税控除制度の適用
研究開発費の税控除制度は、適格企業の適格研究開発活 動の経費に対する租税の控除制度です。このプログラムは 2つの構成部分からなっています。
1) 年間売上高が2000万ドル未満の適格研究開発企業体 に対しては、45%の還付付き税額控除(150%の控除に相当)
2) その他の全ての適格研究開発企業体に対しては、40% の無還付税額控除(133%の控除に相当)
注意点:
2014年7月1日から、オーストラリアにおける研究開発費 (R&D) の税控除制度の下で、税金控除を申請できる企業については、研究開発費用の上限が1億豪ドルとなりました。ただし、研究開発費用が1億豪ドルを超えた場合については、1億豪ドルを超えた金額について、通常の法人税率でタックスリターンを申請することが可能です。
2015年5月12日に発表された、オーストラリアの新予算案(2015-2016年)では、非課税の団体によって運営されていない、しかも年間売上高が2000万豪ドル未満の適格研究開発企業体 に対しては、43.5%の還付付き税額控除に変更する意向が提示されており、また、2014年7月1日以降に申請したものについては、38.5%に変更する意向が提示されています。ただし現行の利率は、上記の45%と40%がまだ適用されています(2015年5月18日現在)。
2.還付付きと無還付の税額控除の違いは?
税額控除は、企業の所得税債務に直接適用され、企業の税 額負担を軽減します。
1) 45%の税額控除は、還付付き、すなわちある企業の納税負 担額がゼロになった場合、その企業は余剰控除額還付の 対象となる資格が与えられる可能性があるというものです。
2) 40%の税額控除は、無還付、すなわち納税負担額がゼロに なった場合でも、その企業は余剰控除額の還付はいっさい 受けられません。しかし余剰控除額を将来の会計年度に繰り越すことは可能です。
3.研究開発費の税控除制度と研究開発費に対する税制優遇措置の違いは?
研究開発費の税控除制度は、以前の研究開発費に対する税制優遇措置より単純かつ公正で、利用し易い制度です。
1) オーストラリアで研究開発を行う外国企業、および海外に知的財産を所有する企業にも適用を拡大
2) 企業がその活動の適格性について確信がない場合に事前認定を求めることができるため、研究開発投資に於ける確実性が増大
3) より寛大な優遇措置、特に中小企業にする配慮
4) より明確な研究開発活動の定義
4. 研究開発費の税額控除の請求資格を得られるのは誰か?
研究開発費の税額控除の請求資格を持つ企業体は以下の通りです。
1) オーストラリアの企業
2) 租税の理由からオーストラリアに居住する企業
3) オーストラリアと租税協定を結んでいる国に居住する外国企業のうち、オーストラリア国内の恒久的施設を通して研究開発活動を行う企業。
これは、これまでの研究開発費に対する税制優遇措置と比較して適格企業体の対象範囲が拡大したことを示しています。外国企業にまで対象を拡大したことで、オーストラリアの恒久的納税者である外国企業に対する研究開発課税規定の差別が解消されます。
5.研究開発費の税控除制度は誰が実施するのか?
イノベーションオーストラリアは、産業革新を支援する目的でオーストラリア連邦政府が打ち出した技術革新・ベンチャー投資プログラムの実施をサポートするために設立された、独立した法的機関です。これには研究開発費の税控除制度の実施も包括されています。
研究開発費の税控除制度は、イノベーションオーストラリアの代わりにAusIndustryがオーストラリア国税局と共に、実施しております。
6.研究開発費の税控除制度はどのように運営されるのか?
研究開発費に対する税制優遇措置と同様に、企業は税額控除を請求する前提条件として毎年AusIndustryに登録を済ませておく必要があります。企業は適格研究開発活動が実施された会計年度末日から10ヶ月以内に、その活動について登録しなければなりません。 2011年7月1日からの会計年度以前に開始された活動については、従来の研究開発費に対する税制優遇措置に基づいて登録と請求が行われます。 2011年7月1日以降の会計年度に開始された活動については、新たな研究開発費の税控除制度に基づいて登録と請求が行われることになります。
7.研究開発費の税控除制度のもとで適格な活動とは何か?
適格な研究開発活動は、登録書類の中で「コア」活動と「支持」活動に区分されなければなりません。
「コア」研究開発活動は、実験的活動と定義されます。
• 結果がどうなるか確実には予測不能なもの
• 実証された科学的原理に基づいた系統的作業行程を適用することではじめて究明されるもの
• 新知識を生み出すために実施されるもの
「支持」研究開発活動とは、以下に定義されるものです。
• コア研究開発活動に直接関連するもの
• 場合によっては、研究開発の主要目的のために行われる活動のみ
8. 海外での活動も研究開発費の税額控除の対象となるのか?
研究開発費の税控除制度は、海外で行われた適格研究開発活動が以下の要件を満たしている場合には、AusIndustryが「 海外認定」 を受け取り次第、それらを支援します。
• 研究開発活動であること
• オーストラリアで行われるコア活動に有意な科学的関連性があること
• オーストラリア国内での実施が不可能なこと
• オーストラリアでのコア活動の経費を上回らないこと
注意点:
海外での活動も研究開発費の税額控除の対象として申請したい場合、申請はその会計年度内にしなければなりません。つまり、6月30日までに申請しなければならず、この期日を過ぎると新しい会計年度となり、前年の会計年度内での研究開発活動を申請することは出来ません。
--ご注意-
私どもは質の高いビジネス・アドバイザリーサービスの提供をモットーとしております。
この情報は、公共的にアクセスできる情報をベースにして経営管理の視点から提供するものです。法的アドバイスを構成するものではありません。この情報に依拠して法的意味のある何らかの行動を起こされる場合には、前もってお客様の特定の状況に応じた法的アドバイスを専門家からお受けください。
-Disclaimer-
We are committed to delivering quality in business advisory services.
This information is provided on the business advisory perspective only, with reference to the materials publically available. It does not constitute legal advice and should not be relied upon as such. Specific legal advice about your specific circumstances should always be sought separately before taking any action based on this information.
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1. 研究開発費の税控除制度の適用
研究開発費の税控除制度は、適格企業の適格研究開発活 動の経費に対する租税の控除制度です。このプログラムは 2つの構成部分からなっています。
1) 年間売上高が2000万ドル未満の適格研究開発企業体 に対しては、45%の還付付き税額控除(150%の控除に相当)
2) その他の全ての適格研究開発企業体に対しては、40% の無還付税額控除(133%の控除に相当)
注意点:
2014年7月1日から、オーストラリアにおける研究開発費 (R&D) の税控除制度の下で、税金控除を申請できる企業については、研究開発費用の上限が1億豪ドルとなりました。ただし、研究開発費用が1億豪ドルを超えた場合については、1億豪ドルを超えた金額について、通常の法人税率でタックスリターンを申請することが可能です。
2015年5月12日に発表された、オーストラリアの新予算案(2015-2016年)では、非課税の団体によって運営されていない、しかも年間売上高が2000万豪ドル未満の適格研究開発企業体 に対しては、43.5%の還付付き税額控除に変更する意向が提示されており、また、2014年7月1日以降に申請したものについては、38.5%に変更する意向が提示されています。ただし現行の利率は、上記の45%と40%がまだ適用されています(2015年5月18日現在)。
2.還付付きと無還付の税額控除の違いは?
税額控除は、企業の所得税債務に直接適用され、企業の税 額負担を軽減します。
1) 45%の税額控除は、還付付き、すなわちある企業の納税負 担額がゼロになった場合、その企業は余剰控除額還付の 対象となる資格が与えられる可能性があるというものです。
2) 40%の税額控除は、無還付、すなわち納税負担額がゼロに なった場合でも、その企業は余剰控除額の還付はいっさい 受けられません。しかし余剰控除額を将来の会計年度に繰り越すことは可能です。
3.研究開発費の税控除制度と研究開発費に対する税制優遇措置の違いは?
研究開発費の税控除制度は、以前の研究開発費に対する税制優遇措置より単純かつ公正で、利用し易い制度です。
1) オーストラリアで研究開発を行う外国企業、および海外に知的財産を所有する企業にも適用を拡大
2) 企業がその活動の適格性について確信がない場合に事前認定を求めることができるため、研究開発投資に於ける確実性が増大
3) より寛大な優遇措置、特に中小企業にする配慮
4) より明確な研究開発活動の定義
4. 研究開発費の税額控除の請求資格を得られるのは誰か?
研究開発費の税額控除の請求資格を持つ企業体は以下の通りです。
1) オーストラリアの企業
2) 租税の理由からオーストラリアに居住する企業
3) オーストラリアと租税協定を結んでいる国に居住する外国企業のうち、オーストラリア国内の恒久的施設を通して研究開発活動を行う企業。
これは、これまでの研究開発費に対する税制優遇措置と比較して適格企業体の対象範囲が拡大したことを示しています。外国企業にまで対象を拡大したことで、オーストラリアの恒久的納税者である外国企業に対する研究開発課税規定の差別が解消されます。
5.研究開発費の税控除制度は誰が実施するのか?
イノベーションオーストラリアは、産業革新を支援する目的でオーストラリア連邦政府が打ち出した技術革新・ベンチャー投資プログラムの実施をサポートするために設立された、独立した法的機関です。これには研究開発費の税控除制度の実施も包括されています。
研究開発費の税控除制度は、イノベーションオーストラリアの代わりにAusIndustryがオーストラリア国税局と共に、実施しております。
6.研究開発費の税控除制度はどのように運営されるのか?
研究開発費に対する税制優遇措置と同様に、企業は税額控除を請求する前提条件として毎年AusIndustryに登録を済ませておく必要があります。企業は適格研究開発活動が実施された会計年度末日から10ヶ月以内に、その活動について登録しなければなりません。 2011年7月1日からの会計年度以前に開始された活動については、従来の研究開発費に対する税制優遇措置に基づいて登録と請求が行われます。 2011年7月1日以降の会計年度に開始された活動については、新たな研究開発費の税控除制度に基づいて登録と請求が行われることになります。
7.研究開発費の税控除制度のもとで適格な活動とは何か?
適格な研究開発活動は、登録書類の中で「コア」活動と「支持」活動に区分されなければなりません。
「コア」研究開発活動は、実験的活動と定義されます。
• 結果がどうなるか確実には予測不能なもの
• 実証された科学的原理に基づいた系統的作業行程を適用することではじめて究明されるもの
• 新知識を生み出すために実施されるもの
「支持」研究開発活動とは、以下に定義されるものです。
• コア研究開発活動に直接関連するもの
• 場合によっては、研究開発の主要目的のために行われる活動のみ
8. 海外での活動も研究開発費の税額控除の対象となるのか?
研究開発費の税控除制度は、海外で行われた適格研究開発活動が以下の要件を満たしている場合には、AusIndustryが「 海外認定」 を受け取り次第、それらを支援します。
• 研究開発活動であること
• オーストラリアで行われるコア活動に有意な科学的関連性があること
• オーストラリア国内での実施が不可能なこと
• オーストラリアでのコア活動の経費を上回らないこと
注意点:
海外での活動も研究開発費の税額控除の対象として申請したい場合、申請はその会計年度内にしなければなりません。つまり、6月30日までに申請しなければならず、この期日を過ぎると新しい会計年度となり、前年の会計年度内での研究開発活動を申請することは出来ません。
--ご注意-
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