朝日新聞によれば、インターネット通販大手の米アマゾンといった世界展開するIT企業から、先進各国の国税当局が思うように法人税を徴収できずに頭を抱えているようです。各国の税制の違いなどを利用した企業の節税策に、打つ手がないからです。日本も苦慮しており、来年夏に国内で開かれる主要20カ国・地域(G20)の会合で対応策を主要な議題としたい考えです。
東京都の会社員女性(34)は月に5~6回、アマゾンの通販を利用します。子ども用のおむつや麦茶など、運ぶのが大変なものが多い。「周りでアマゾンを使っていないお母さんを探す方が難しい」と話します。 アマゾンは2017年、日本国内で119億米ドル(約1兆3415億円)を売り上げました。5年前の1・5倍で、高島屋をしのぐ規模だ。決算公告で確認できる14年は売上高79億米ドル(約9469億円)で、日本法人が支払った法人税は約11億円。単純比較はできないが、同規模の売上高を持つ国内小売りの10分の1以下です。 巨大な物流施設に日用品や食料品、書籍など多彩な商品を保管。顧客がほしい商品をワンクリックで注文すると、最速で当日や翌日に手元に届く――。日本の国税関係者によると、米アマゾンはこの販売システムが知的財産にあたるとして、日本法人から多額の「使用料」を受け取っています。これで課税対象となる日本法人の所得が圧縮され、法人税額が大きく減っています。「もうけの多くが使用料として持っていかれている」(国税関係者)という。日米租税条約で米国企業に支払われる知的財産の使用料に課税できない決まりもあり、当局に打つ手がないのが実情です。 アマゾンは海外で法人税を納めており、脱税には当たらない。主な納税先は明かしていないが、法人税率の低い国・地域とされています。 さらに当局を悩ますのが、ネットビジネスの広がりです。アマゾンは、電子書籍の販売は契約先を米国の会社に設定。今のルールでは日本に支店や配信拠点がないと法人税を課すことができないため、配信事業については日本で法人税を払っていません。 一般の住宅に有料で人を泊める「民泊」の仲介大手の米エアビーアンドビーも、日本の利用者は法人税率の低いアイルランドの関連会社と契約する仕組みをとります。日本の利用者が払った仲介手数料は、法人税の課税対象外となっています。 先進各国は、対策に動き始めています。欧州委員会は3月、欧州連合(EU)内でデジタル事業を営む企業の実効税率が平均9・5%で、一般的な企業の23・2%より低いと指摘し、新たな課税方法を提言しました。 支店などがなくても、世界での売上高が年7・5億ユーロ(約970億円)以上、EU内での電子取引の売上高が年5千万ユーロ以上の企業に、消費地の各国が売り上げに応じて3%の税を課す内容です。EU全体で年50億ユーロの税収増になると試算します。ただ、特定企業を狙い撃つような税制は、世界貿易機関(WTO)の協定違反にもなりかねません。 日本も15年10月から、外国企業が海外のサーバーからネットで配信する電子書籍や音楽に消費税を課しています。来年のG20の会合では各国が協調できるような新たな法人税の仕組みの議論を主導していく方針です。 森信茂樹・中央大法科大学院特任教授は「過去につくられた課税ルールは、今のデジタル社会に適合していない」と指摘。「社会保障や年金の財源が枯渇していく中で、日本で法人税を課すことができないのは深刻だ。あり方を考える時期にきている」と話します。 https://digital.asahi.com/articles/DA3S13643027.html?iref=pc_ss_date この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: https://www.j-abc.com/blog/japan-eyes-new-tax-laws-to-go-after-amazon-online-firms
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