日本経済新聞によれば、鉄道会社の人手不足を背景に、車両メーカーがあらゆるモノがネットにつながる「IoT」のサービス提供に乗り出すようです。川崎重工業は2020年度にも米国で貨物列車の線路の不具合を監視するサービスを始めます。日立製作所は駅の混雑に応じて運行本数を増減させるシステムなどの提供をめざします。鉄道の保守人員などの不足は特に先進国で目立ちます。車両各社はこうした課題をとらえ、顧客に解決策を提案します。
川重は顧客である鉄道会社の貨物列車にカメラやセンサーを搭載。画像や速度の変化などの情報から、線路の軌道に生じたゆがみなどを検知する。集めたデータをシステムが解析し、適切な補修時期を予測・提案する。 広大な北米大陸では米国の貨物鉄道大手だけで線路の長さが20万キロメートル超あるとされる。ロッキー山脈を走るなど人力では点検しにくい場所も多い。2010年代以降は貨物列車の脱線事故も相次いでいる。鉄道会社は年に1回ほど専用の検査車などを走らせているが、安全確保を強化する必要に迫られている。 川重のサービスは通常運行の列車でも、「専用の検査車とほぼ同水準の精度で異常を把握できる」(川重の中谷浩技術開発本部長)。検査の頻度の増加によって得られる情報量も増え、線路の効率的な保守が可能になるという。川重は北米で年間約6千億円とされる線路メンテナンス市場の需要取り込みを狙う。 一方、欧州市場に強みを持つ日立はデンマークのコペンハーゲンの地下鉄会社と提携。駅に設置したセンサーで混雑度を分析し、乗客の増減に応じて運行本数を自動で最適化する実証実験をしている。日立のIoTプラットフォーム(情報基盤)である「ルマーダ」を活用している。 乗客にとっては混雑の緩和、鉄道会社にとってはコスト削減や運行効率の向上が期待できる。日立は早期の実用化を目指すとともに、先進国を中心に提供先を増やしたい考えだ。 日立は英豪資源大手のリオ・ティントにも列車運行の自動化システムを提供している。リオ・ティントは18年12月、オーストラリアの鉱山で1日平均3交代が必要だった貨物列車の運行を完全無人化し、大幅な省力化を達成した。 鉄道車両メーカーがこうしたサービスを強化する背景には、先進国を中心とする鉄道の保守部門などの人手不足がある。 一方、こうした市場でもグローバル競争が激しくなりつつある。IoTでは日立など日本勢に先行する独シーメンス。ベアリング(軸受け)世界最大手のスウェーデンのSKFと組んで鉄道の車両部品を監視し、適切な交換時期を提案するサービスなどを手がける。 独自のIoTサービスの提供で、車両も含めたニーズを取り込もうという「陣取り合戦」は今後、熱を帯びそうだ。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51770760T01C19A1TJC000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: https://www.j-abc.com/blog/japans-train-car-makers-turn-to-connected-rail-line-services
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