日本経済新聞によれば、トヨタ自動車は22日、パナソニックと電気自動車(EV)などの車載電池の新会社を2020年末までに設立すると発表しました。ハイブリッド車(HV)などでは先行したトヨタが最も慎重だったのがEVで、電池の安定調達が課題でした。車載電池の技術を多くもつパナソニックと組むことでEVが急速に普及する中国市場を開拓するほか、電池の規格統一に向けて主導権を握る思惑もあるようです。
出資比率はトヨタが51%、パナソニックが49%。研究開発から生産、調達まで一貫で手がけます。新会社にはトヨタから約500人、パナソニックから約3000人が移る予定。外販に力を入れるため、新会社で生産する電池の販売はパナソニックが担います。同社は米テスラ向けを除く車載電池工場を新会社に移す予定です。 トヨタがEV電池会社を設立するのは、今後の収益のカギを握る世界最大の中国市場の開拓があります。EVが世界で普及するにはコストや航続距離、資源確保などの課題が多いとみていました。 しかし、中国は19年から燃費規制に加え、EVや燃料電池車(FCV)などの一定の製造・販売を義務付けています。トヨタが得意とするHVは優遇の対象外です。 世界の自動車大手は中国でEVシフトを加速しています。独フォルクスワーゲン(VW)は上海市で、年産能力30万台のEV専用工場を着工し、20年に稼働します。比亜迪(BYD)、北京汽車集団は中国の補助金を追い風にEVの車種を広げます。 トヨタも20年には独自開発のEVを出す計画ですが、商品化や量産体制で遅れていました。パナソニックと組むことで、EV電池の標準化で主導権を握る狙いもあります。 パナソニックは車載用リチウムイオン電池(出荷量ベース)の世界シェアで17年に中国・寧徳時代新能源科技(CATL)に首位を明け渡しましたが、世界2位の大手です。NECなど日系電池メーカーは事業採算性の難しさから車載電池から相次ぎ撤退しました。このなかパナソニックはトヨタにはHV、テスラにはEVの車載電池をそれぞれ大量に供給し、量産技術を蓄積します。 EVの航続距離を伸ばせる次世代の全固体電池なども開発する計画です。車載電池で中韓勢が台頭するなか、EVの課題である航続距離を伸ばせる高容量電池などの分野では「パナソニックに一日の長がある」(みずほ銀行国際営業部の湯進主任研究員)。 トヨタはEVの基盤技術で提携するマツダやスズキ、SUBARU(スバル)など7社のほか、ホンダにも電池新会社からの供給を協議しています。欧米メーカーにも採用を呼びかけ、規模によるコスト削減のほか、リユースやリサイクルをしやすいように電池パックの規格統一をめざします。 電動車向け電池はサイズや仕様に明確な規格がありません。トヨタとパナソニックが共同生産する角形電池でも各社で仕様がバラバラのため、製造ラインなどの設備コストが高止まりしています。両社は汎用的に使える電池の開発を急ぎ、幅広い自動車メーカーの採用を通じて標準化に布石を打ちます。 世界でEVシフトが加速するなか、新会社は電池の競争力を高められればトヨタとパナソニックの成長を後押しします。一方で、競争力を失えば大きな投資リスクを抱えることになります。 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO40321510S9A120C1EA1000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: https://www.j-abc.com/blog/toyota-charges-into-electric-car-race-with-panasonic-tie-up
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