新興5市場(マザーズ、東証ジャスダック、札証アンビシャス、名証セントレックス、福証Qボード)に上場し、08年度から継続比較できる673社(金融など除く)を対象に集計しました。17年度の純利益の合計は4608億円になります。
増益率は16年度(45%)に続いて2ケタを記録します。13~15年度は踊り場でしたが、前年から大きく伸びてきました。息の長い景気回復が続き、その恩恵が中堅企業にまで広がってきたといえます。
増益への貢献が大きいのは日本マクドナルドホールディングスです。日本人好みに仕立てた高単価の大型ハンバーガーが好調で、17年12月期の純利益は4倍の200億円と過去最高の見通し。鶏肉偽装問題による低迷からの復活が鮮明で、同社の増益額だけで全体の3割近くに相当します。
スマートフォンゲームのアエリアは女性向け恋愛ゲーム「A3!」が人気を集め、最終損益が黒字に転換します。カラオケのシダックスは不採算店の閉鎖や営業時間の見直しが効き、最終損益が3期ぶりの黒字に転じます。
人手不足の解消に向けた需要は、独自の技術やサービスを持つ新興企業にも及んできました。
医療や介護の現場では、サイバーダインのつくる装着型ロボット「HAL」の引き合いが強いようです。医療機関などへの貸し出しが伸び、17年4~9月期の売上高は27%増えました。研究開発費の負担は重いですが、上場後初の最終黒字が視野に入ってきました。
試作品製作の菊池製作所でも、介護などで使う動作補助装置「マッスルスーツ」が伸びています。
新興市場に多いバイオ・医療関連企業では、医療用マウスなどを開発するトランスジェニックの18年3月期の純利益が36%増加します。高齢者に多いアルツハイマー病用のモデルマウスをつくるサービスが順調です。
今年は15年以来の多さとなる90社が新規に上場し、その多くを新興市場銘柄が占めます。好業績と新顔への期待が相まって「投資家の買い意欲は高まっている」(いちよし証券の宇田川克己氏)。自己資本利益率が高い中小型銘柄で構成するJPX日経中小型株指数の3月末からの上昇率は25%で、JPX日経インデックス400(17%高)を上回っています。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24287320V01C17A2DTA000/
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https://www.j-abc.com/blog/japans-listed-emerging-businesses-see-12-profit-jump