朝日新聞によれば、世界で初めて電動アシスト自転車を売り出したヤマハ発動機で、欧州向けの基幹部品が急伸中のようです。2014年の輸出台数は前年の16倍の5万3千台となり、15年は8万台をねらう勢いです。ペダルを踏む力を補うモーターなどの心臓部で軽さと小ささを追求し、デザイン性も重視。現地の一流自転車メーカーの心をつかんだようです。
モーターやセンサーを集めた基幹部品の「ドライブユニット」で、大ヒットした欧州向けの新製品は、13年後半に生産が始まりました。 ドイツやスイスなどの欧州では、電動アシスト自転車市場が急成長し、年間100万台ほど売れています。険しい山道の上り下りや長距離ツーリングなど、欧州ならではの使われ方もあり、市場規模はいまや日本の2倍です。 こうした乗り方の違いなども研究。ライバルの独ボッシュ社の「一歩先」をめざし、ペダルの回転軸と後輪の車軸との距離を縮めて、こいだ力がよりじかに伝わるよう、設計を見直しました。重さはこれまでのヤマハ製品より1割超軽い約3・5キロにして、小型化。性能と車体のデザインを損ねない大きさが、スポーツタイプの電動アシスト自転車をつくるドイツやオランダの一流メーカーに注目されました。「ここまで伸びるとは思わなかった」(海外営業担当の池辺正一郎・SPV事業部主査)というほど、一気に注文が増えました。 快走は続きます。静岡県森町の子会社ヤマハモーターエレクトロニクスの工場では、15年も前年の1・5倍、8万台の輸出を目標にフル生産が続いています。 坂道や長距離でも楽に運転ができる電動アシスト自転車は、ヤマハが世界のパイオニアです。1993年、世界初の市販車を日本で発売。ドライブユニットの生産台数は、これまでに累計300万台を超えます。年間約50万台の国内市場では、他社ブランドで出している分も含め、半分強のシェアを占めます。 ところが欧州は、01年から10年間ほど、ほぼ手つかずでいました。96年に自転車とユニットの輸出を始めたもののうまくいかず、事実上、撤退していたからです。 再挑戦は12年。欧州では市場が急成長し、機能やデザインの優れた自転車は30万~70万円するような価格でも売れていました。安値競争に陥らず、質の高さで勝負できるとの思惑もありました。 ただ、最初からうまくいったわけではありません。国内向けを改良しても、力の伝わり具合や充電池が目立つ形状が欧州メーカーの好みに合わず、輸出は3千~4千台止まりでした。 SPV事業部の清水亘マーケティング部長は「2回の挫折があるから、今がある。再挑戦時の目標は10万台だった。欧州の上位モデルでは、ヤマハ製品をいちばん使ってもらえるようにしたい」と自信をみせています。 http://digital.asahi.com/articles/ASH6B5364H6BULFA01P.html
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本日付のThe Australian Financial Review紙によれば、カンタス航空は、売り上げが伸び悩んでいるジェットスター・ジャパンに20億円の追加資金投入し、今後もアジアでの格安航空ビジネスで最大規模に成長することを目指すようです。
カンタス航空と日本航空は、ジェットスター・ジャパンの国内線および国際線事業の拡大のために、2014年11月に、110億円の資金を2回に分けて投入することに合意をしました。1回目の資金投入額は70億円でしたが、2回目の資金投入時期は明確に示されていませんでした。 ジェットスターの担当者は、カンタス航空は2015年に資金投入をすると話していました。一方で、日本航空の担当者は、「ジェットスター・ジャパンの経営計画と、財務状況をみて、2回目の追加資金については決定する」としています。 日本航空の担当者は、「ジェットスター・ジャパンの安定したビジネスの実現のために、必要なサポートを今後も継続していく。」と話しています。 ジェットスター・ジャパンは、昨年度、大阪拠点の開業が遅れたこともあり、111億円の損失となりました。今年の上半期の業績は、昨年度に比べて円高が進み、また、航空運賃の価格競争が激しさを増しましたが、昨年度の上半期と比べると、損失額は、減少しているようです。 ジェットスター・ジャパンは、20の航空機を所有し、成長を続けている日本の格安航空市場において、60%のシェアを有しています。今年上半期においては、航空運賃からの収益が、11%上昇したようです。日本航空によれば、今年初めの3カ月については、ジェットスター・ジャパンの搭乗率は、平均で75%でした。しかしこの搭乗率は、格安航空市場では、まだまだ低い水準のようです。ちなみに、収益が出ているジェットスター・オーストラリアでは、同期間の平均搭乗率は、82.9%でした。 しかし、ジェットスターグループの最高経営責任者のJayne Hrdlicka氏は、「日本の(航空)市場は非常に大きいため、ジェットスター・ジャパンは、最も長期的な成長の可能性を持った、(同社の)アジアの企業(グループ部門)である。」と話しています。 http://www.afr.com/business/transport/aviation/qantas-to-pump-more-funds-into-jetstar-japan-20150628-ghy64i
朝日新聞によれば、ホンダは、来年3月に売り出す新しい燃料電池車(FCV)を、燃料を満タンにした状態から最長で約750キロ走れるようにするとのことです。トヨタ自動車が昨年12月に世界で初めて市販したFCV「ミライ」よりも約100キロ長くなります。
電池を積む電気自動車よりも長い距離を走れるのがFCVの利点です。ホンダはこれまで、最長走行距離を700キロ以上としていましたが、燃料電池の効率化や車体の軽量化で、750キロまで延ばせそうだといいます。ミライは同650キロです。 新FCVの価格は700万円台。実際には、ミライ(約720万円)に近い水準になりそうですが、750キロの走行距離に加え、乗車定員もミライより1人多い5人として実用性を高め、存在感を出す考えです。 FCVは、燃料となる水素と酸素を反応させて電気をつくり、モーターを回して車輪を動かす車。走行時に水しか出さないことから「究極のエコカー」とも呼ばれています。 日産自動車もFCVを2017年中に売り出す考えで、今後も技術開発の分野で競争が続きそうです。 http://digital.asahi.com/articles/ASH6R4W3ZH6RULFA010.html
本日付のThe Australian Financial Review紙によれば、オーストラリアは、中国が主導するアジアインフラ投資銀行の設立メンバーとなるようです。
アメリカ(日本など)が参加を表明しない中、一時は参加に慎重だったオーストラリア政府は、9億3000万豪ドル(日本円で約880億円)を拠出して参加をするようです。 この払込資本金は、今後5年間に渡ってアジアインフラ投資銀行の運営に役立てられ、これによりオーストラリアは6番目に大きな株主になるとのことです。 「アジアインフラ投資銀行は、払込資本金の合計が200億米ドル(約252億豪ドル)で、総資本金は1000億米ドルになる」とホッキー財務大臣が述べました。 ホッキー財務大臣は、アジアインフラ投資銀行は、鉄鉱石といった商品をより多く販売することを目指しているオーストラリア企業にとって、ビジネス機会を創出すると述べています。 同氏は、「アジアインフラ投資銀行への参加によって、オーストラリアが、近隣国や最大の貿易相手国と連携して経済成長や雇用の創出を行っていくことを見せる大変良い機会だ。」と述べています。 また、「アジアインフラ投資銀行は、民間企業と密接に活動し、アジア地域におけるインフラ成長で、オーストラリアのビジネスを活用することが出来る。」と述べています。 「アジアインフラ投資銀行のガバナンスについては、銀行の方向性や意思決定について、すべての(参加)メンバーがオープンで透明性が確保される形で直接関与することを保証し、ベストプラクティスに基づいて行われる。 」とも述べています。 ホッキー氏は、6月29日に北京で行われる調印式に出席する予定とのことです。 http://www.afr.com/news/politics/australia-to-join-asian-infrastructure-investment-bank-says-joe-hockey-20150624-ghwevx
本日付の日本経済新聞によれば、オーストラリアの住宅市場が活況です。豪不動産情報会社ドメイン・グループによると、最大都市シドニーの一戸建ての中心価格は今年1~3月期で91万4056豪ドル(約8800万円)。1年で16%増、過去3年では39%増と大幅に伸びました。人口が2番目に多いメルボルンでも1年で6.6%、3年で22%値上がりしたとのことです。
「Sold(売却済み)」。シドニーの住宅街を歩くと、転売された中古物件に頻繁に出くわします。物件の概要や不動産会社の連絡先を書いた看板を掲出するや否や、ほとんどが翌週には売れています。RPデータによると、購入希望者を集めて週末に開かれる競売の成約率はシドニーで87%に達しました。市場に出ればほぼ買い手がつく状況です。 住宅市場が活況 「以前からの住宅不足に加え、低金利が引き金となって住宅ブームが起きた」とドメイン・グループのシニアエコノミスト、アンドリュー・ウィルソン氏は話します。豪準備銀行(中央銀行)は2011年12月に利下げに転じ、今年に入ってからも2月と5月に0.25%ずつ下げました。金利は過去最低の年2%。25年前の17%台に比べ格段に低い水準となっています。 「住宅ブームは今年で3年目に入り「過去最高のペースで上昇している」(ウィルソン氏)。シドニーの戸建ての中心価格は年末までに1億円を超え、その後は徐々に調整すると見られています。 持ち家派には資産価値の上昇は朗報で、ヨットなどぜいたく品の売れ行きを後押ししています。一方、持たざる者にとってはマイホームの夢は遠のく一方です。資源ブームが去った豪州の賃金上昇率は足元で年2.3%と、住宅の価格上昇率に追いついていません。 住宅ブームの認識でギャップ 当局はこれまで、住宅ブームは移民の流入など人口増にけん引された健全な成長とみていました。だが、今月に入り潮目が変わりました。6月初め、ジョン・フレーザー財務次官が「シドニーとメルボルンの一部では明白に住宅バブルだ」と指摘。その後、豪中銀のスティーブンス総裁も「シドニーについては懸念している。一部(の価格)はクレージーだ」と率直に認めました。 一方、政治家はバブルではないとの見方を強調しています。シドニーの自宅ローンを支払い中と明かしたアボット首相は「穏やかな価格上昇はいいこと」と話しています。ホッキー財務相は住宅難への批判に対し「稼ぎのいい仕事を見つけ、銀行に行ってお金を借りればいい」と述べ、現在の価格上昇に問題はないとの持論を展開しました。 不動産投資は豪州人にとって最も身近な資産形成の手段の一つです。一例として、投資物件にかかる金利や家具の減価償却費などを税控除として申請できる「ネガティブ・ギアリング」制度があり、節税対策に活用する人が多いのが現状です。同制度は金持ち優遇と野党から批判があがるが、ビジネス界に強いパイプを持つ与党・保守連合は廃止には後ろ向きです。資源ブーム後の経済を支える住宅市場を冷え込ませるような施策はとりにくいのが実情です。 売り手市場 オーストラリアは気候や教育環境が魅力で、中国マネーの流入も不動産市場を活性化しています。シドニー南部のハーストビルという町では中国系住民が全体の5割を超え、チャイナタウン化が進む。住宅価格は約30年前の10倍に跳ね上がり、今が売り時と見た古くからの住民が相次いで自宅を手放しています。 資源産業に依存した経済を多様化させるため、豪中銀は金融政策を緩和的に維持する方向のようです。あふれるマネーの向かう先として、最近は学生用アパートへの投資も話題を集めています。海外からの留学生数は今年最高を記録し、住宅不足が深刻となっています。シドニーでは最近、3DKの部屋に58のベッドを詰め込んで留学生らに貸し出していた劣悪な事例が摘発されました。シンガポール系や英米企業が相次ぎ、シドニーやメルボルン、ブリスベンなどで大規模な学生用アパートの建設に乗り出しています。 http://www.nikkei.com/markets/kaigai/emerging.aspx?g=DGXMZO8826334019062015000000&df=2
日本経済新聞によれば、テルモやタニタなど14社は22日、社員の健康増進の成功事例を共有する連携組織「KENKO企業会」を設立したと発表しました。社員とその家族の体重変化や歩数など匿名化した健康関連データを持ち寄り、企業間で比較するなどして効果的な施策の立案に役立てるようです。データ収集する社員・家族は計約30万人で、ビッグデータとして活用するとのこと。
血圧や血糖値、禁煙率、健診受診率など8つのテーマを設定します。テーマ別に分科会を作り、ウオーキングイベントや禁煙推進プログラムなどのノウハウを紹介しあうようです。データの分析結果を共有し、どのような取り組みで改善がみられたかを議論するといいます。 社員の健康増進は業務の生産性の向上や健康保険組合が支払う医療費の削減につながります。幹事を務めるテルモの中尾浩治会長は同日、経済産業省で記者会見し「各社の取り組みを互いに取り入れあえるようにしたい」と述べました。希望があれば14社以外にも参加を認めるとのことです。 他の参加企業は、ABCクッキングスタジオ、NTTドコモ、オムロンヘルスケア、協和発酵キリン、グリーンハウス、第一生命保険、大日本印刷、帝人、ニトリホールディングス、三越伊勢丹ホールディングス、LIXILグループ、ルネサンス。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ22I98_S5A620C1TI1000/
日本経済新聞の英語版(The Nikkei Asian Review)によれば、福島県で建設が進んでいる世界最大規模の浮体式洋上風力発電の組み立て作業が、6月22日に完成する見込みのようです。
このプロジェクトは、日本政府の支援で進められ、複数の日本企業と大学が共同で進めてきたもので、2011年で大きな被害を受けた福島県の再建のシンボルとなっており、洋上発電では、世界最大規模の発電量を見込んでいます。 いわき市の小名浜港で建設が行われ、発電設備全体の高さが190メートル、長さ82メートルの羽根を使って発電します。この発電設備は、時速300㎞までのスピードの風にも耐えられるように、設計してあるということです。 このプロジェクトは、丸紅、三菱重工、日立、そして東京大学で、コンソーシアムを形成し、発電設備を建設、操業する予定です。 日本政府からの要請を受け、コンソーシアムはプロジェクトを進め、2013年には福島県の海岸線から20km離れた洋上に、2,000kwの発電設備の第一号(1基目)を建てました。 そしてこの度、コンソーシアムは、1基目の3.5倍にあたる約7,000kwの発電能力を持つ2基目の建設を進めています。 1基目の技術的なテスト(検証)期間は終了し、技術的な問題は見られなかったということです。「日本は洋上風力発電の分野では、ヨーロッパに遅れを取っていますが、このプロジェクトの完成によって、世界でこの分野でリードできる存在となりえる。」と東京大学の教授は話しています。 福島での浮体式洋上風力発電の費用は、約500億円です。 世界の風力発電市場は、多くの発展途上国からの新規参入により、タービンにおける価格競争が進んでいます。新たな需要を創出するためにも、浮体式洋上風力発電のコストを、現在の半分程度まで下げる必要があります。技術とコストのバランスが重要で、これが実現できれば、新たなエネルギー源として大きく期待できるということです。 http://asia.nikkei.com/Tech-Science/Tech/World-s-largest-floating-wind-turbine-nearly-complete-in-Fukushima
本日付のThe Australian Financial Review紙によれば、オーストラリアのトニー・アボット首相は6月18日、豪州北部地域開発のために、道路やダムの整備、旅行者などに対するビザの緩和などを行い、約1,140億円を使用すると発表しました。
アボット首相は、「もし北部地域が活性化すれば、オーストラリア全体が活性化する。そのために、我々は北部地域でのビジネスの運営コストを下げ、投資と働く場所としてより魅力的な地域にしていく」と述べました。 首相は、2060年までに北部(西オーストラリア州、北部準州、クイーンズランド)の人口を、現在の100万人から500万人に増やすことを目標としているようです。 北部地域開発の今後20年間のプランとして、豪州連邦政府は、貯水施設整備のために約190億円、道路の整備に約570億円の予算を用意するようです。 その他のプロジェクトとしては、海外の投資家向けのフォーラムをダーウィンで開催、共同リサーチセンターの開発(約70億円)、トロピカルヘルスプロジェクト(約14億円)、先住民の警備隊のための約11億円などが、プランとして挙がっています。 また、ウォーレン・トラス副首相は、北部地域に投資が促されるよう、ビジネスを促進する取り組みを、政府として取り組んでいくと言っています。 北部地域に、労働者を呼び寄せるための取り組みも行われる予定です。海外からのワーキングホリデーで来る労働者に対して、北部地域に滞在する場合は、通常1年間の滞在期間を3年に延長し、また、旅行者を増やすために、3年間のmultiple entry visa(複数回、豪州への渡航が可能なビザ)も、10年間に延長することが可能になるようです。 カンタス航空社長のアラン・ジョイス氏は、北部地域の開発と急成長を遂げているアジア諸国を新たに結ぶ航空事業に、連邦政府と一緒に検討していくことを楽しみにしているとのことです。 中国商務部副部長のWang Shouwen氏は、「オーストラリア北部地域について、農業、食品加工、インフラにビジネス機会があるとみている」と話しています。 また同氏は、「中国は世界で3番目に大きな投資国(投資を行う国)であり、オーストラリアの農業や食品加工の投資にも、非常に興味がある。また中国は、インフラに強く、これが(オーストラリア北部地域への)更なる投資を広げるために役立つかもしれない。」と話しています。 http://www.afr.com/news/politics/northern-australia-plan-china-backs-economic-powerhouse-20150618-ghreyc
The Australian紙によれば、マインドコントロール(思っただけで、筋肉等を動かさずに、操作などが出来るようになる)は、ほぼ実現できるところまできているとのことです。オーストラリアの元ニュースキャスターが、人が筋肉を動かさずにiPhoneやiPadsを操作出来る装置を開発したとのことです。
オーストラリア、クイーンズランド出身のピーター・フォード氏は、オーストラリアだけでなくアメリカでも活躍をした元ニュースキャスターです。 ピーター氏は、コンピュータープログラマーで、空いている時間などを使って神経などの障害で体が思うように動かせない人のために、新たな装置の開発に取り組んできました。 2005年以降、ピーター氏の会社Control Bionics社は、障害で動けない人の筋肉内部の電気信号を読み取り、文章を書いたり、コンピューター等を介して話たり、Eメールを操作したり、インターネットを利用したり、ゲームをしたりすることが出来るように、NeuroSwitchという装置の開発を進めてきました。 NeuroSwitchは、アップル社の装置で使うことが出来、麻痺などの障害を持っている人が、iPadsが使えるようになるということです。同氏は、「これは、人が機械と共存し、より良い世界の実現に向けた1歩だ。人がキーボードやマウスを介して出来ることは、人間の持つ神経システムを使わなくても、すべて出来る」と話しています。 このシステムの価格は、17,450米ドル(22,494豪ドル)で、オーストラリア、ニュージーランド、米国、イギリス、ヨーロッパの障害者に対して提供するということです。 アップル社は、スイッチコントロールというソフトを完成させ、これによりタッチパネルを使うことができなかった(上肢などに)障害のある方々も、初めてiPadなどを十分に利用できるようになりました。このソフトは、iPhoneやiPadsの画面上をカーソルが少しづつ移動し、タイミングを合わせて選択すると、自分が使いたいアプリを選択できます。この機能で、文字入力も可能です。利用者がONとOFFだけの少ない動作で、複雑な動きを行なうことが出来ます。 NeuroSwitchとスイッチコントロールの組み合わせによって、人が思ったことが体に伝えられる際の情報を読み取り、スイッチコントロールによって、使いたい機能(アプリなど)の入力に使えるということです。 iPhoneやiPadsは、筋肉を動かそうと「考えるだけ」で使えるようになり、まるで念力で使用しているような感じです。 Control Bionics社は、NeuroSwitchのインターフェースをMacのスイッチコントロール向けにリリースを開始し、来月には、iPhoneとiPad向けにも同様なバージョンをリリースするということです。 http://www.theaustralian.com.au/business/technology/marriage-of-man-and-machine-opens-new-world-for-disabled/story-e6frgakx-1227402951789
朝日新聞で、興味深い記事が掲載されていましたので、ご紹介します。
「世界初」が起きたのは2014年5月16日の夕刻だった。場所は長崎市多以良町、水産総合研究センターの西海区水産研究所。 「水槽全体が真っ白になって。精子で白濁したんですね。どこにマグロがいるのかも見えないくらい。もやがかかったような状態でした」 まぐろ増養殖研究センター長の虫明敬一(57)が説明する。 真っ白になったのは陸上施設内に設けた直径20メートル、深さ6メートルの採卵用水槽。そこに入れていた人工孵化のクロマグロ親魚約40匹の一部が産卵し、狙い通りに受精卵を得た。 「2、3匹の雄が1匹の雌を追う、そういう追尾行動が水槽の中で何カ所も起こるんですよ。1回に追尾するのは長くて30秒くらいでしょうか。で、いったん静まるんですけどまた追尾が起こります。それが断続的に起きて……」 雌が産卵し、雄が精子をかける。産卵行動は8月終わりまでの3カ月続いた。入手した受精卵は水槽二つで計5000万個。採卵目的の陸上施設でクロマグロが産卵したのは世界初だった。 施設の完成は13年6月。国はここに21億円を投じた。そこまで力を入れるのは、陸上施設での採卵が養殖ビジネスの鍵を握るからだ。 一般的な日本のクロマグロ養殖は、漁獲した0歳の稚魚を3年間生け簀で育てて出荷する。ところが乱獲を防ぐため、15年1月から稚魚や幼魚の漁獲規制が始まった。急速に注目を集めたのが完全養殖だ。天然の親魚から卵を採って孵化させるのが人工孵化で、人工孵化させて育てた親魚の卵を孵化させると完全養殖となる。完全養殖が定着すれば天然の稚魚を捕る必要がない。 海の生け簀を使った完全養殖は02年に近畿大学が成功させたが、ビジネスとして定着させるには大きな課題があった。産卵時期のコントロールだ。稚魚は海の生け簀で初めての冬を越す。狭い生け簀で寒い冬を乗り切るには体重が3キロほしい。4、5月に産卵させれば3キロに達するのだが、生け簀のクロマグロが産卵するのは7、8月。それだと1キロほどで冬場を迎えるため、死ぬ魚が増える。産卵時期を早めるには水温を調整しなければならない。そのためには陸上施設が要る、という図式。 しかし陸上施設には採算を超えた巨費が要る。養殖ビジネスの最大の課題がそこだった。 クロマグロの卵は受精して24時間ほどで孵化する。「世界初」の受精卵のうち300万個が鹿児島県・加計呂麻(かけろま)島にある研究所の奄美庁舎と、長崎県の水産試験場に送られた。 長崎から加計呂麻島まで陸、空、海路で計9時間。奄美庁舎にいる種苗量産グループ長、塩澤聡(57)が振り返る。「着いてすぐに孵化が始まりました。クロマグロは400キロにもなりますが、卵はわずか1ミリです。孵化した翌々日にはもう餌を与えなくてはなりません。孵化後、5、6センチまで育つのは1%です」 30~40日かけて5、6センチに育て、沖の生け簀に入れる。2カ月後に500グラムまで育つのはその10分の1。出荷サイズまで育つのはさらに2分の1。つまり出荷にこぎつけるのは孵化した魚の0.05%。 生まれた直後は沈降して死ぬ、浮上して死ぬ、共食いで死ぬ。大きくなっても、少し驚くと衝突して死ぬ。それらを一つずつ解決し、出荷に至る。 東京・豊洲のマルハニチロ本社。増養殖事業部長、伊藤暁が「陸上採卵には期待しています」と話す。同社は一時中断を経て06年度から完全養殖の研究を復活、完全養殖マグロの初出荷を6月に控えている。 天然魚を使った養殖は世界各地で展開しているが、日本の養殖システムには課題もあると指摘する。地中海では大きなマグロを捕って5から8カ月だけ飼う。日本は3年間も育てるのでコストダウンが大事になる、と。 「改善したいのは生存率と餌、育種です」と伊藤は言う。育種とは養殖に適した品種に改良すること。つまり生存率が高く、成長が早いマグロの開発。 マルハニチロも加わって進めているのが遺伝子の研究だ。横浜市金沢区の水研センター中央水産研究所。水産遺伝子解析センター長、乙竹充(55)が説明する。 「生まれてすぐにサンプリングして遺伝子型を調べると、例えば4匹の雌が産卵していたということが分かります。18日後に生き残ったのを再度調べると、生き残る子どもをたくさん生んだ親はどれかというのが分かるわけですね」 目指すのは、高い生存率と成長の早さ、病気に耐える力を持つDNAの配列を解析すること。そのような遺伝子を持つマグロを交配させれば「理想」の養殖マグロが生まれる。 マグロの精子を凍結する技術まではできている。問題は採卵だ。特定のマグロから採卵するには陸上施設が欠かせない。長崎の施設はそういう意味でも期待されている。乙竹が言う。「どのマグロを交配用として残せばいいか、それを分かるようにするのが出口です」 http://globe.asahi.com/feature/article/2015043000006.html |
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