朝日新聞によれば、カニの殻が保湿クリームに、卵殻が栄養機能食品に。持続可能な社会をめざす中、食品加工後に捨てられるはずだった廃棄物を再利用する取り組みが広がっています。
カニの水揚げ量日本一を誇る「蟹取(かにとり)県」の鳥取。缶詰などを製造する際、カニ殻が大量に出る。鳥取大の伊福伸介教授は、このカニ殻を再利用できないかと研究している。 カニ殻の主成分であるキチンは以前から傷を治す効果は認められていたが、ほとんどの溶媒に溶けず加工が困難だった。伊福教授はキチンを特殊な技術で粉砕することで、髪の毛の1万分の1ほどの極細繊維「キチンナノファイバー」を取り出すことに成功。超極細にすることで加工しやすくなったという。 キチンナノファイバーには保湿効果、育毛・発毛効果、傷の治癒効果があることも研究で実証。現在ではベンチャー企業を立ち上げ、さらなる効果の研究や、保湿クリーム、頭皮ローション、ペット向けの保湿ジェルなどを販売している。 伊福教授は「捨てられるはずだったごみを資源として再活用し、地域産業の活性化にもつながればうれしい」と話す。 食品大手のキユーピーは、マヨネーズなどの製造に使った後の卵殻や卵殻膜を100%再利用している。年間で使う卵の量は、日本の年間生産量の10%にあたる25万トン。廃棄物となる卵殻は2・8万トンに及ぶ。それを洗浄、粉砕、乾燥して肥料にし、提携した農家へ配っている。畑だけでなく水田でも卵殻の肥料を散布することで、米の粘り気、味の向上、天候不順時の収穫量の改善につながることも研究で確認された。 また、卵殻の約94%は炭酸カルシウムでできていることから、カルシウムの栄養機能食品を開発し、国内外で販売。卵殻1個につき約1万個の穴がある多孔質の構造を生かして、除湿や消臭効果のあるタイルや壁材の原料としても再利用している。 同社サステナビリティ推進部チームリーダーの竹内直基さんは「『もったいない』という考え方から、すべてを余すことなく利用している」と話す。 国は2001年施行の食品リサイクル法で、食品製造業では95%、食品小売業では60%、外食産業では50%を目標に、食品廃棄物の再生利用を求めている。17年度の農林水産省の統計によると、食品産業全体での食品廃棄物は約1767万トンにのぼる。食品製造業では廃棄物1411万トンのうち再利用率は95%と目標を達成。一方、外食産業では再利用に不向きな廃棄物も多く、32%と低い。 外食産業のスターバックスコーヒージャパンでは、コーヒーの豆かすを含む再利用率は約48%と高い。全国1600店舗で出る豆かすは年間6600トン。関東と関西の店舗から出る豆かすを加工し、牛の飼料や畑の肥料に使っている。また、その牛から得た牛乳を店舗で使ったり、肥料で作ったレタスやキュウリなどの野菜を使ったサンドイッチを販売したりする。 また、豆かすは一部の店舗で使用されるトレーにも生まれ変わっている。サステナビリティチームのチームマネジャーの普川玲さんは「豆かすのような廃棄物にも価値を持たせないといけない。さらに再利用の取り組みを拡大し、続けていきたい」と話している。 https://digital.asahi.com/articles/DA3S14578287.html?iref=pc_ss_date この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: https://www.j-abc.com/blog/new-uses-found-for-mountains-of-food-waste-even-crab-shells-in-japan.html
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