日本経済新聞によれば、新日鉄住金は製鉄原料の原料炭について、資源メジャーとの価格交渉制度を廃止する方針を示しました。資源メジャーと世界最大の需要国である中国が国際市況に連動する取引となっているため、新日鉄住金も相対での値決めを見直します。鉄鋼メーカーは市況変動に合わせて鋼材価格を機動的に変える方針で、今後は国内の自動車や電機メーカーにコストを転嫁できるかが焦点となります。
これまで英アングロ・アメリカンなど資源メジャーと相対交渉で決めていた調達価格を、2017年4~6月期の調達分からスポット(随時契約)市況連動に切り替えます。英石油情報会社S&Pグローバル・プラッツが算出するスポット価格など3つの指標を値決めに使う見込み。大半の資源メジャーと基本合意に達したということです。 中国鉄鋼メーカーの生産量拡大に伴い、製鉄原料の取引慣習は大きく変わりました。中国やインドの製鉄所は原料をスポット市場で購入するケースが多く、主要産地であるオーストラリアなどの資源メジャーも日本が求める長期契約交渉の継続に難色を示すようになりました。 原料炭で高いシェアを持つ豪英BHPビリトンは先行して10年前後に相対での契約交渉から離脱。スポット価格での販売に限定しています。鉄鉱石は10年に市況連動での調達に切り替わりました。 日本の鉄鋼大手は原料炭価格が16年夏以降に大きく上昇したことで収益が急速に悪化しました。新日鉄住金は顧客への価格転嫁が遅れ、17年3月期の単独営業損益は4期ぶりに赤字に転落しました。JFEスチールも単独赤字だったもようです。新日鉄住金は「このままでは継続的な設備投資ができない」(栄敏治副社長)と危機感を強めていました。 ただ、スポット市場ではトレーダーの思惑的な取引も多いのが現状です。透明性が高い半面、相場が一方向に振られやすいとの指摘もあります。日本の鉄鋼大手はデリバティブ(金融派生商品)を活用した価格変動リスクの回避など、原料の調達戦略の見直しが急務となります。 日本は1990年代初頭に世界最大の粗鋼生産量を誇りました。新日本製鉄(現新日鉄住金)も世界最大手でしたが、買収戦略で台頭した欧州アルセロール・ミタルや中国勢の急拡大のあおりで影響力が低下。世界標準に合わせざるを得なくなった格好です。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ12IT4_S7A610C1TI1000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: https://www.j-abc.com/blog/nippon-steel-to-use-market-rate-for-buying-coking-coal
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