日本経済新聞によれば、牛丼やしゃぶしゃぶに使う輸入牛肉の価格に異変が起きています。代表的な米国産の卸値が下がる一方、オーストラリア(豪州)産が上昇して米国産より高くなりました。米国産は米中貿易摩擦が影響し、旺盛だった中国の需要が鈍化。代替として豪州産の引き合いが強まったため、価格の逆転現象が鮮明になっています。
ショートプレートと呼ぶ米国産冷凍バラ肉の7月末時点の卸値は1キロ740~750円と、前月比約5%下落しました。 豪州産冷凍バラ肉は5~6%上昇し同770円前後と米国産に比べ30円前後高い。「通常、米国産に比べ豪州産は数十円ほど安いが、今は逆転している」(双日食料の呉大仁ビーフ部主任) 米国産の下落の背景にあるのが米中貿易摩擦です。中国では2017年に米国産の輸入が再開された後、伝統料理の火鍋向けなどに多く取引され、価格も輸入再開前より上昇していました。 だが、米トランプ政権による対中制裁への対抗策として、中国は7月、米国産の牛肉や大豆など545品目に追加関税を発動しました。「貿易摩擦の影響を警戒し、中国勢の買い意欲が鈍り始めている」(双日食料の小穴裕ビーフ部副部長) 中国の牛肉需要は年々増え、17年の輸入量は70万トンと5年前の11倍に達しました。米国でも主要な市場に育つとの期待が高まっていましたが、貿易摩擦により「今後数年間で見込んでいた輸出拡大の機会損失が数億米ドルとなるだろう」(米国食肉輸出連合会)との声もあがっています。 脂肪分が多いショートプレートは赤身を好む米国では需要が少なく、日本は牛丼向けを中心に輸入してきました。中国の需要鈍化を受けて需給が緩んだ結果、日本での取引価格も下落しています。 代替品として中国で需要が拡大しているのが豪州産です。中国では米国産と同じく火鍋などに用います。豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、6月の豪州産牛肉の中国への輸出量は冷凍・冷蔵あわせて1万5千トンと前年同月比7割ほど増えています。 豪州産は「需要が世界的に伸びており、価格はさらに上がるのではないか」(大手食肉卸)との指摘が多い。韓国では焼き肉向けの引き合いが強く、1~6月の豪州産の輸入量は7万5千トンと前年同月比1割増えました。 豪州産は日本ではハンバーガーのパティなど、ひき肉として使われます。冷凍食品向けに需要が旺盛で、輸入量は前年比1割ほど増えています。 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO33656840R00C18A8QM8000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: https://www.j-abc.com/blog/aussie-beef-prices-rise-as-china-loses-appetite-for-us-meat
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