朝日新聞によれば、自動車にドアミラーやルームミラーの取り付けを義務づける国土交通省のルールが改正され、車外カメラと室内の映像モニターで代用できるようになるようです。死角の減少などの効果が見込まれ、メーカーは開発を急いでいます。安全性にかかわる変更だけに、故障しないことやドライバーに違和感のない使い勝手などが、実用化の条件になります。
改正されたのは、道路運送車両法に基づく自動車の保安基準。これまで設置を義務づけていた「後写鏡」について、カメラとモニターでの代用を認めます。 ミラーと同じ程度の画質や視野の確保が条件。モニターは運転を妨げない位置に取り付けることを求めています。新基準は6月18日から施行され、国交省の認証を得た乗用車やトラック、バスなどは公道を走れるということです。 ルールの見直しは、国連の会議で昨年、自動車の世界的な基準が変更されたのに合わせた対応です。カメラの性能や映像処理技術の発達を受け、置き換えを認める流れになりました。日欧を先頭に、世界各地で同様の規制緩和が進む見込みです。 カメラの導入で、ドライバーの死角をなくし巻き込み事故などを減らせる、雨の日や後部座席に大きな荷物がある時でも、後方の状況をミラーより確かめやすい、といった安全面での効果が見込まれます。 車体から突き出たドアミラーをなくせるため、空気抵抗が減る効果もあり、トヨタ自動車幹部は「燃費向上や風切り音の減少につながる」と話しています。外観デザインの自由度も広がりそうです。 規制緩和を見越し、メーカーも車の「ミラーレス化」に動き出しています。 トヨタが昨年秋の東京モーターショーで披露した高級車レクサスの試作車。流れるような大型ボディーにはドアミラーがありません。ミラーレス車について、幹部は「今後の技術として当然視野に入れている」と話しています。独BMWも今年1月、米国の展示会でドアミラーの位置にカメラを付けた試作車を出展しました。 実際に開発の中心を担う部品会社の動きも活発です。 自動車用ミラー最大手の村上開明堂(静岡市)は基準改正に合わせて、ルームミラーに電子部品をつけて映像を表示できるようにした製品を発表。自動車メーカーに売り込んでおり、2018年度までに市販車への搭載をめざしています。 自動車部品国内最大手のデンソーも開発を急ぐため、昨年末に画像認識技術を研究する東京のベンチャー企業に出資しました。 萩原電気(名古屋市)は、複数のカメラ映像を見やすい形にまとめる技術を開発しました。広角で撮った映像のゆがみを補正し、合成する仕組み。石川重信・上席執行役員は「ミラーレスなど車の電子化は、新たな商機になる」と話しています。 ただ、安全面での懸念は残ります。デンソー関係者は「画像の遅延や故障時の対応は大きな課題」と指摘します。時速100キロで走る車は1秒間で30メートル近く進みます。駐車時の後方確認用に実用化されているカメラとは違い、表示のわずかな遅れやカメラの破損などは、命を危険にさらしかねません。 また、従来のミラーだと人は位置感覚を直感的に持てるのに対し、モニターでは把握しにくくなるという指摘もあります。萩原電気の石川氏は「かつてミラーの位置がボンネットからドアに変わった時ですら、メーカーは相当慎重になったと聞く。運転者が使いやすいような工夫が喫緊の課題だ」と話しています。 http://digital.asahi.com/articles/ASJ6K3W10J6KOIPE00K.html この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: http://www.j-abc.com/blog/-automakers-rush-to-create-cars-without-rear-and-side-mirrors-in-japan
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