日本経済新聞によれば、東京工業大学発ベンチャーのゼタはマスク事業に参入するようです。洗濯を繰り返しても抗菌効果を保つことができる極微細な繊維「ナノファイバー」の不織布を開発、まず布マスクに取り付けるシートを発売します。メーカーと共同で医療用マスクの製品化にも取り組み、新型コロナウイルス対策が長期化の様相を呈する中、マスクの供給を増やします。
自社開発したナノファイバーを「Zマスク」と名付けて商品化する。Zマスクは繊維径が0.08~0.4マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルと極めて細かく、一般的な医療用高機能マスク「N95」の3~5マイクロメートルと比べて10分の1以下という。 極微細な繊維では、分子レベルで引き合う「分子間力」が強く働く。この力を利用して新型コロナなど0.1マイクロメートル以下のウイルスもキャッチすることができ、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の実験では、同程度の大きさの微粒子をほぼ100%捕まえたという。 一般的な医療用高機能マスク「N95」は静電気でウイルスを捕まえる仕組みで、数時間着用すると呼気などの湿度で効果が弱まる。医療現場では1日に数回交換する必要があり、マスク不足の原因の一つになっている。 その点、Zマスクは分子間力を利用するため、繊維が壊れない限り機能が低下しないという。ゼタの実験では、洗剤で100回手洗いしても抗菌効果を保った。分子レベルで吸着するため洗濯でウイルス除去はできないが、体内にも侵入しない。ウイルスは数日程度で死滅するという。 ナノファイバーの製法も工夫した。従来は樹脂をノズルから吹き出し、高速の風を当ててシート状にするメルトブロー製法が一般的だ。ただ、この製法では繊維の細かさや大量生産が課題とされる。ゼタは風の当て方を工夫して、0.4マイクロメートル以下の繊維を安定的に生産する装置の開発に成功。生産効率は従来の100倍以上に向上した。 5月中にも、布マスクなどに取り付けるシートを発売する。ネット通販で価格は1枚2500円程度を想定。松山市内の同社拠点では現在、月160万枚分の生産能力がある。 また、自社開発の装置とノウハウを他社に提供し、技術料収入を得る事業も計画している。すでに大手素材メーカーや衛生用紙メーカーから引き合いがあるといい、国内のマスク製造会社に不織布を提供、繰り返し使える医療用マスクの製品化に取り組む方針だ。 ゼタの発端は、東工大とNEDOによるナノファーバー技術開発プロジェクト。パナソニックの研究員として参加した高橋光弘会長や、東工大名誉教授の谷岡明彦取締役らが2011年に設立した。19年10月期の売上高は2億8000万円。マスク事業は21年10月期に売上高3億円を目標とする。高橋会長は「半永久的に使用できる繊維で、マスク不足解消に役立ちたい」と話している。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58887800Y0A500C2LA0000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: https://www.j-abc.com/blog/japanese-university-start-up-develops-coronavirus-catching-fabric.html
0 Comments
Leave a Reply. |
ニュースレター
配信登録 著者木名瀬 晴彦 アーカイブ
March 2021
カテゴリー
All
|
Getting Around
|