朝日新聞によれば、新しい国立競技場をはじめ木を使った大規模な建物が注目されているようです。大手ゼネコンの竹中工務店(大阪市)は2013年、国内初となる商業とオフィスの「木造ビル」を横浜市と大阪市に相次いで建てました。火災に弱く、不可能とされてきた木のビルを可能にしたのが、耐火集成材「燃(モ)エンウッド」です。
柱や梁(はり)に使う燃エンウッドは三つの部分から成る。建物の重さを支える中心部の木材(集成材)の周りを、熱を吸収するモルタルで保護。その外側を木材で囲んだ。 火事になると外側の木は燃えて炭化し熱が伝わりにくくなる。さらにモルタルも熱を吸収することで、中の木材に火が回らない仕掛けだ。1、2時間加熱後に放置しても燃え進まず、自然に鎮火する。 「燃える木を、燃えないようにする。この矛盾の解決こそ、難題だった」。同社技術研究所の構造部防火グループ主任研究員、大橋宏和さん(59)はそう振り返る。 震災時の火災や倒壊などを考慮した1950年制定の建築基準法では、高さ13メートル、軒先の高さ9メートルを超す大規模建築物は木造では建てられなかった。だが2000年の改正で、一定時間、火災に耐えられるなら、繁華街など都市部の防火地域でも大規模な木造建物を造れるようになった。 これを受け03年、同業の大林組と開発に着手。木を覆う素材に鉄や石膏(せっこう)も使って耐火試験を繰り返した。木の密度が足りなかったり、中心部を保護する材料に問題があったりすると燃え尽きる。今度は大丈夫、ともくろんでも“灰”になったことが幾度か。 失敗を乗り越えて08年に技術が完成。その後は両社が独自に開発を進めた。 ただ、学会で成果を発表しても、実用化の見通しはなく「塩漬けを覚悟した」(大橋さん)。ところが公共建築などに木材の利用を促す法律が10年に施行されたことが追い風に。その後、14階建てのビルも造れる燃エンウッドを開発。燃エンウッドを使った建物が現在までに9棟、今後も新築が7件予定されている。 二酸化炭素を吸収して育った木を建材にし、新たな木がまた二酸化炭素を吸って育つ循環ができれば、森林や林業の再生、温暖化対策にもつながる。「木の柔らかみと温かさも、人々の暮らしを潤します」と大橋さんも期待を膨らませる。 https://digital.asahi.com/articles/DA3S14422758.html?iref=pc_ss_date この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: https://www.j-abc.com/blog/fireproof-wood-lets-large-timber-buildings-sprout-up-in-japanese-cities.html
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