日本経済新聞によれば、日本国内で建設期間が半分ですむ小規模の地熱発電所が相次ぎ立ち上がるようです。JFEエンジニアリングや三井石油開発の企業連合は岩手県で出力約7千キロワットの発電所を建設。オリックスは東京・八丈島で4千キロワット級をつくる計画です。いずれも環境影響評価(アセスメント)が不要ということで、国も電力買い取り制度で小規模地熱の普及を後押ししています。世界3位の地熱資源量をうまく生かせば、電源の多様化につながる可能性があります。
地熱発電は地中深くから取り出す高温蒸気で電気をつくります。太陽光や風力発電と異なり、天候や昼夜で発電量が変動しないのが最大の特長。日本の地熱資源量は原子力発電所23基分に相当する2300万キロワットで、米国、インドネシアに次ぐが、現在は計50万キロワットの利用にとどまっています。 課題は採算性のようです。利益確保には1基数万キロワット規模が必要でしたが、環境アセスが欠かせず完工まで10年以上かかっていました。国は2012年に小規模地熱の買い取り価格を大型より5割強高く設定。環境アセス不要の7500キロワット未満で採算が取れるようになりました。 JFEエンジと三井石油開発は、独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)や地熱開発の日本重化学工業(東京・中央)と共同出資会社を設立。85億円投じ、岩手県八幡平市で3月に着工する予定で、18年稼働を見込んでいます。 オリックスは東日本大震災後、地熱発電の立地調査を進めていました。今回は初の建設決定。八丈島の発電所は出力4400キロワットで22年ごろの稼働を目指します。投資額は約50億円。同島の東京電力ホールディングス系の地熱発電所が古くなり、八丈町は新たな事業者を募っていました。近く同町と建設の協定を結ぶということです。別の地域で7500キロワットに満たない約10件を検討中で、計3万キロワット程度を計画しています。 出光興産は3月に大分県九重町で5千キロワットの発電所を稼働させる予定です。Jパワーなどは19年稼働をめざし、秋田県で4万2千キロワット級を建設中。国内で23年ぶりの大規模発電所となります。ただ、ほかの大型案件は環境アセスなどに時間がかかっているとのことです。 国が示す30年の望ましい電源構成では、13年に11%だった再生可能エネルギー比率を22~24%に引き上げ、原子力の20~22%と同等にする方針。太陽光や水力が中心ですが、地熱も全体の0.3%から1%に引き上げる目標のようです。 燃料が必要ない地熱発電は日本のエネルギー安全保障にも寄与します。小規模地熱の普及には効率よく熱源を探す技術を高めるほか、自ら環境影響を調べて住民の理解を得る作業も欠かせないとのことです。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ24HTL_W7A220C1MM8000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: http://www.j-abc.com/blog/-small-geothermal-plants-gaining-steam-in-japan
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