日本経済新聞によれば、政府の緊急事態宣言を受けて中小企業の経営環境が一層厳しくなる中、フィンテック勢が資金繰り支援に動いているようです。オンライン上で最短、即日入金する新たなファクタリング(売掛債権の買い取り)や融資で対応。従来型の金融機関と異なる手法で迅速な資金調達を可能にします。政府の支援策が行き届かない現在の状況のもとで、資金繰りを円滑にするための新たな選択肢となっています。
「東京都内のレストランなどへの売り上げが3月は3割以上減り、数十万円の売掛債権を現金化してなんとか乗り切った」。千葉県の食肉卸の経営者は安堵の表情を浮かべた。利用したのはOLTA(オルタ、東京・港)のファクタリングサービスだ。緊急事態宣言の発令で経営環境は一段と厳しくなった。「不安が増す」として4月以降も利用を続ける考えだ。 オルタはオンライン上で、売掛債権を最短で即日現金化する。決算書や入出金明細などの情報をもとに審査し、請求書金額から2~9%の手数料を差し引いた金額で債権を買い取る。企業は取引先から入金後にオルタに弁済。取引先の不払いリスクはオルタが負う。3月の申込社数は前年同月の3倍に達した。 従来のファクタリングは主に対面で紙を介した手続きだった。2010年代から米国のフィンテック企業が非対面のオンラインによるサービスを始めた。新生銀行がオルタと提携するなど既存の金融機関も関心を強めている。フィンテック協会によると、ファクタリングを手掛ける国内のフィンテック関連企業は10社まで増えてきた。 新型コロナウイルスを契機に、新たなファクタリングのニーズは強まっている。マネーフォワード子会社のMF KESSAI(東京・千代田)のファクタリングサービスの申込件数は3月に前月比44%増えた。広告やイベント、建設など売り上げの入金期間が長い業種で利用が広がる。広告代理店の神谷製作所(東京・港)の神谷準一社長は「業界慣習で売り上げの現金化に3~4カ月かかり、融資だけでは資金が回らない」と話す。 オンラインによる中小向け融資も伸びている。クラウド会計ソフトのフリーが提供する「オファー型融資」は3月に申し込みが急増。同社の会計ソフトを使う企業の借入可能額や金利条件を人工知能(AI)で自動試算。1週間程度で提携先の銀行が融資を実行する。 中小企業が資金繰り対策に、ネットで不特定多数から資金を募る「クラウドファンディング」を活用する事例も増えている。運営サイト大手のCAMPFIRE(東京・渋谷)では、イベントを中止した事業者や来客数が減少した飲食店などを対象に、通常17%の手数料を5%に引き下げた。8日時点でコロナ関連のプロジェクトの申請が860件に上った。うち200件で募集が始まり、すでに2億7千万円の支援が集まった。 政府は、政府系金融機関による無利子融資や減収企業に対する給付金などで45兆円規模の資金繰り対策を決定したが、不十分との指摘がある。フィンテック勢のサービスは資金調達に悩む企業の新たな選択肢となる。 ただ、わらにもすがりたい企業のニーズを悪用する業者が出てくることも想定される。例えばファクタリングサービスを装う悪質な「ヤミ金」業者も存在する。利用する際は提供する企業やサービスが信頼できるかどうかの見極めが必要だ。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57824330Y0A400C2EE9000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: https://www.j-abc.com/blog/fintech-startups-fill-gap-in-japans-coronavirus-cash-crunch.html
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