朝日新聞によれば、音量を上げなくても難聴者が音を聞き取りやすいというスピーカーを、東京のベンチャー企業がつくったようです。素朴な発想から生まれたこの製品、障害者差別解消法が4月に施行されたことを受け、銀行の窓口や介護施設を中心に導入が進んでいます。
東京・日本橋のりそな銀行東京中央支店。その窓口に3月、呼び出しのアナウンスに使う新しいスピーカーが1台設置されました。「サウンドファン」が開発した「ミライスピーカー」です。同支店営業第5部長の井上理津子さんは「バリアフリー対策の一環として導入した。支店の隅々まで音が伝わるので健常者の方にも役立っている」と話しています。 サウンドファン社長の佐藤和則さん(59)は元コンピューターメーカー幹部。老人性難聴の父親のために、まずは仕事の傍ら2013年にスピーカーの研究を始め、同年に会社を立ち上げました。 2年ほど前、蓄音機の音が難聴者によく聞こえるとの評判を聞きつけました。調べた結果、ラッパ状にカーブした音の出口を通ることで、距離が離れても衰えにくい特殊な音が生まれるとわかり、これを応用することにしました。 「簡単な原理ですが、既存の電機メーカーにとってまったく盲点の領域だった」(佐藤さん)。父親に試作品を使ってテレビを見てもらうと、補聴器なしで音が聞こえたと喜んでくれました。難聴者約300人へのテストでも、約8割が音量を上げなくても鮮明に聞こえたと回答したということです。 5歳の時におたふく風邪で左耳が聞こえなくなったという東京の会社員男性(50)は、複数の方向からの音を同時に聞き取れず、家族とテレビをみていても会話ができなませんでした。それが昨秋、ミライスピーカーを試した際に左耳で音が聞こえ、「こんなことがあるのかと涙が出てきた」。今は自宅で使っていて、「テレビを見たり音楽を聴いたりしながら家族と語り合えるのがうれしい」と話しています。 発売は昨年10月。障害者が直面する障壁を取り除く「合理的配慮」を官民双方に求めた障害者差別解消法の施行で売れ行きが伸び、250台以上が売れたといいます。今は注文を受けて作っていますが、今後は工場で委託生産し、月300台の量産態勢に入るとのこと。佐藤さんは「介護用ロボットや電車にも導入し、海外にも浸透をはかりたい」と意気込んでいます。 価格はオープンで、同社ホームページでの直販では15万円(税抜き)。 http://digital.asahi.com/articles/DA3S12390374.html この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: http://www.j-abc.com/blog/-new-japanese-speaker-system-clearly-audible-to-those-who-are-hard-of-hearing
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