朝日新聞によれば、企業や家庭にある蓄電池や太陽光発電設備をインターネットでつなぎ、一つの大きな発電所に見立てて電気の出力を調整する――。そんな仮想発電所(VPP)と呼ばれる実験が始まっています。実現すれば、再生可能エネルギーの導入が進んだり、発電にかかる費用を下げたりできる可能性があります。
琵琶湖の東岸にある滋賀県守山市。電源機器大手の三社電機製作所(大阪市)の工場にある出力約200キロワットの蓄電池は、兵庫県尼崎市にある関西電力の研究施設とインターネットでつないであります。 研究施設からの指令に応じ、電線を経由して蓄電池から放電したり、逆に蓄電池に充電したり、といった工程を今年1月の実験で試しました。三社電機の担当者は「今後はどれくらい多くの機器をつないで制御できるかを試す必要がある」と話しています。今秋にもまた実験する方針です。 実験は、経済産業省がVPPの技術確立を狙って2016年度から始めた補助事業の一つに選ばれました。関電は三社電機のほか、GSユアサや住友電気工業など12社とも組み、電気自動車3千台分に相当する計9千キロワットの電源を集めて実験を進めています。 経産省は2020年に、計5万キロワット分の蓄電池をつないで需給調整をする目標を掲げています。30年には、火力発電所13基分に相当する1320万キロワット分の調整力を確保できると見込んでいます。東京電力ホールディングスも、NECや積水化学工業などと組んで実用化に取り組んでいます。 政府や大手電力会社がVPPの技術確立をめざすのは、東京電力福島第一原発事故後、国内で再生可能エネルギーを使って発電した電気が増えたためです。16年度に固定価格買い取り制度で引き受けた太陽光由来の電気の量は、5年前の約13倍に増えました。 電気の供給は、使う量と発電量をそろえる「同時同量」が基本です。このバランスが崩れると、大規模停電が起きるおそれがあります。 太陽光や風力は気象条件によって出力が大きく変動し、増減分をどう調整するかが課題になっています。 大手電力会社は主に火力発電所をこまめに動かすことで調整していますが、受け入れ可能な量を超えそうなときは、太陽光発電事業者に発電をやめるよう求める例も出てきました。 VPPが実現すれば、大きな発電設備を持たずに変動分を「吸収」できます。再生エネルギーを導入しやすくなるため、関電幹部も「古い火力発電所の維持にかかる費用を減らせる」と言っています。発電にかかるコストが下がれば、電気料金の値下げにもつながるため、期待が高まっているようです。 http://digital.asahi.com/article_search/detail.html?keyword=%E8%93%84%E9%9B%BB%E6%B1%A0&kijiid=A1001220170622M009-14-005&version=2017071005 この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: https://www.j-abc.com/blog/virtual-power-plants-take-green-energy-closer-to-the-mass-market-in-japan
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