朝日新聞によれば、がん細胞が出すにおいに引きつけられる線虫の習性を利用した、がん検査の実証実験が今月から始まるようです。福岡県久留米市と小郡市が健康診断で採取した市職員の尿を、バイオベンチャー「HIROTSU(ヒロツ)バイオサイエンス」に提供します。同社は来年1月からの実用化をめざすということです。
がん検査に導入されるのは同社の「N―NOSE(ノーズ)」という診断技術。 線虫は土壌などに生息する体長1ミリほどの生物で、仲間には寄生虫のアニサキスなどがいる。においをかぎ分ける高い能力を持ち、がん患者の尿に反応して近づいていく性質がある。 においでがんを見分けるのに犬を使う研究もあるが、線虫なら事前の訓練も不要で、飼育コストも安く済む。線虫を使ったがんの検査方法の実用化をめざし、九州大の助教だった広津崇亮(たかあき)社長が2016年に同社を設立。県や久留米市などは、地元での医療産業の育成を目的に同社の支援を続けてきたという。 広津社長によると、1滴の尿で検査が可能で、胃がんや肺がん、乳がんなど15種類のがんを検知できる。早期のがんでも、従来の検査より高い確率で発見できる一方、費用も1回9800円で済むという。 同社は2018年から全国の17施設で臨床研究を実施しており、線虫の動きを自動で解析する装置も開発してきた。「技術的な検証は終わっている段階」と広津社長。今回の実証実験では久留米市の100人、小郡市で20人の職員が参加。がんのリスクを数段階に分けて受診者に示し、結果の伝え方などを検証するのが目的だという。 同社は来年からは企業や自治体などから、最大25万人分の検体を受け入れ、事業を本格的に始める予定。久留米市役所で会見した広津社長は「費用が安くて精度が高いがん検診の技術があれば、受診率は向上する。自治体に参加してもらうことで、多くの人に知ってもらいたい」と話した。 会見に同席した久留米市の大久保勉市長は「世界的な発明として広く実用化するため、これからも支援していきたい」。小郡市の加地良光市長も「尿だけで検査ができれば、多くの人に予防の入り口になる。意義あるプロジェクトを応援したい」と期待を述べた。 https://digital.asahi.com/articles/ASMB16RY3MB1TIPE02B.html?iref=pc_ss_date この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: https://www.j-abc.com/blog/just-a-drop-of-urine-worms-for-highly-effective-cancer-screening-in-japan
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