朝日新聞によれば、メガネ型の器具をかけると、文字を読み取って音声に変換してくれる――。そんな器具を、東京都港区のベンチャー企業「OTON GLASS(オトングラス)」が開発しました。読み書き障害(ディスレクシア)や弱視などの人に試してもらって改良を重ね、来年の本格販売をめざしています。
器具名は、社名と同じ「OTON GLASS」。同社長の島影圭佑さんがプロダクトデザインを学んでいた大学時代、父親が脳梗塞(こうそく)になって読字が難しくなってしまいました。「父(おとん)のために音(おと)でサポートするものをつくりたい」と、在学中の2013年に開発を始めました。 メガネのフレーム部分に小型デジタルカメラを組み込み、つる部分のボタンを押して正面に見える文字や文章を撮影。字形をインターネット上でデータ処理し、変換された音声をイヤホンやスピーカーから流す仕組みです。試作品を父親がかけると「こういうものがあれば生活は便利だね」と言ってくれました。 開発過程で、知的能力や視覚、聴覚に問題はないのに読み書きだけが苦手なディスレクシアの人たちに出会いました。本や説明書、看板などが速く正確に読めず、学習や暮らしに困難を抱えていました。島影さんは製品化を決意して同社を設立し、技術者ら約10人が集りました。 利用者の想定を視野欠損や弱視の人にも広げ、横浜市などで当事者と一緒に電車に乗ったり店に入ったりして改良。中途失明の人は「昔の視力を取り戻したような感動があった」と喜んでくれたということです。 ディスレクシアの人への支援や啓発活動をしている認定NPO法人エッジ(東京都)も、改良点などを助言しました。エッジの藤堂栄子会長(65)は「遠くの看板やレストランの手書きメニューも読み上げてくれるなど精度が上がり、外で使っても違和感がない。私たちのニーズに十分応えられる」と評価します。 香川県網膜色素変性症協会は今春、高松市で器具の体験会を開きました。着用した男性(31)は「なかなか良い。買い物で手に取った商品が何かを読み上げてくれるともっと助かる」。同協会役員の山下陽輔さん(42)は「精度はまだ十分ではないが、将来的には生活の質を高めてくれそう」と期待を寄せました。 同社オープンイノベーション担当の浅野義弘さん(26)によると、現状は英語と日本語を音声に変換でき、多言語の文字を日本語・英語に翻訳した音声にもできるということです。さらに小型化などの改良を進めています。一般販売に向け、購入時に自治体の補助が受けられる「日常生活用具」の認定を受けて手に届きやすい価格にしたいということです。 https://digital.asahi.com/articles/ASLBL4GFZLBLPTIL00V.html?iref=pc_ss_date この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: https://www.j-abc.com/blog/smart-glasses-help-people-who-cant-read-text-hear-the-world
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