日本経済新聞によれば、産業ガス国内最大手の大陽日酸は、今年中にオーストラリアの同業、スパガス(ビクトリア州)を買収するようです。買収額は約250億円とみられています。金属溶接や食品加工に使う産業ガス市場では、仏エア・リキードがM&A(合併・買収)により世界首位に浮上。同5位の大陽日酸は今夏の米国に続き豪州でも買収をしかけ、世界で広がる陣取り合戦で生き残りをめざしています。
スパガスは豪州南部のメルボルン近郊が本社。17カ所の製造・販売拠点を持ち、年間売上高は約80億円。大陽日酸は豪子会社を通じて、今年中にスパガスの創業家などから全株式を取得。約270人の従業員はそのまま引き継ぐとのことです。 大陽日酸は2015年に、豪東部でガス事業を手掛けるレネゲードガスを約150億円で買収、豪州市場に参入しました。スパガスも傘下に収めることで豪州のシェアを約2倍の10%に高め、国全域で事業を展開できるようにします。 産業ガスは窒素や酸素、アルゴンなど。大陽日酸は「顧客の用途に合わせて適切なガスを提供できるのが強み」としていますが、品質の面で他社と優劣はつけにくいのが現状です。気体で遠距離輸送に向かず、顧客の近くに拠点を設けて事業をするほどコストや納期の面で有利になります。世界の大手は生産・販売網を各地できめ細かく展開する狙いで、再編を加速させています。 16年初めには仏エア・リキードが米エアガスの買収を完了し、25%強のシェアを握る世界最大手となりました。結果的に破談となりましたが、今夏にはシェア23%で2位の独リンデと14%で3位の米プラクスエアが合併協議入りした経緯もあります。 国内では主要販売先の鉄鋼や化学、自動車、電機メーカーの生産が伸びず、産業ガス市場は成熟しています。大陽日酸は現在4割の海外売り上げの割合を、23年3月期に5割以上へ高めて成長を目指す考えです。売上高は5700億円(17年3月期の見込み)で世界シェアは約7%。欧米大手に大きな差をつけられています。 今夏、エア・リキードとエアガスが統合に向けて売却した米国の資産を770億円で買収し、米国内のシェアを1~2ポイント高めました。今後も海外買収を積極的に進める考えを示しています。 今回の買収資金は手元資金と銀行などからの借り入れでまかなう方針。年9%程度の売上高営業利益率を確保しており、手元資金は潤沢のようです。14年に三菱ケミカルホールディングスによる追加出資を受け入れて同社の出資比率を50%強とし、後ろ盾を得たことで、資金調達もしやすくなったようです。 http://www.nikkei.com/article/DGXLZO09802000R21C16A1TI1000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: http://www.j-abc.com/blog/-japans-biggest-industrial-gas-maker-to-buy-aussie-gas-maker
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