本日付の日本経済新聞によれば、今年2月、マルハニチロがタイから輸入した缶詰から国内でまだ認められていない遺伝子組み換えパパイアが見つかったようです。長年、同じ製造者から輸入していましたが「干ばつで製造者が別の農家からパパイアを仕入れたら混じった」(マルハニチロ)といいます。
中国では未認可の遺伝子組み換えのコメの栽培が広がっています。昨年6月、日本向けのビーフンから遺伝子組み換え米の成分が見つかる事例が2件起きました。 検査年3.3万件超 遺伝子組み換え食品の登場から約20年。日本モンサントなどバイテク情報普及会は年間約3100万トンの日本の穀物輸入量のうち、飼料用トウモロコシなどを中心に約1700万トンが遺伝子組み換えと推計しています。国内で商用生産はなく、国の安全性審査を経て輸入します。食用油やしょうゆなど加工食品にも使われ、今や日本の食に欠かせません。 これまで安全の防波堤の役割は横浜検疫所輸入食品・検疫検査センター(横浜市)などが果たしてきました。全国から輸入食品のサンプルが届き、2014年度の検査実績は3万3千件を超します。遺伝子組み換えだけでなく残留農薬や有害物質も調べ、水際で日本の食を守っています。食の安全を脅かしかねない新たな技術とそれを見抜く検査の「いたちごっこ」。それも限界に近いとのことです。 バイオ技術の進歩は急を要し、次の革新はゲノム(全遺伝情報)の狙った部位に突然変異を起こす「ゲノム編集」とのことです。政府も芽に毒の無いジャガイモや大収量のコメなどを研究し始めました。 自然界で起こる突然変異と同じ程度の変化にとどめれば「ゲノム編集を検査で見つけるのは難しい」と国立医薬品食品衛生研究所の近藤一成生化学部長(53)は認めています。 品種改良の延長 食品添加物の世界では遺伝子を組み換えた微生物の活用が広がっています。ビタミンCや昆布のうまみを生むグルタミン酸も作れます。製法はこれまでと違っても成分は同じ。製法を変えても条件を満たせば特別な審査は要らず企業も「知的財産、競合他社の観点から具体的な製造方法は答えられない」(味の素)のが現実です。 食と農の歴史は人間が自然を征服し、野生の動植物をよりおいしく、より多く収穫できるように努力を積み重ねた歩みでもあります。その中核には品種改良があり、遺伝子組み換えやゲノム編集もその延長にあります。 しかし、速すぎる技術の進歩を消費者が不安に感じていたらどうでしょうか。解の一つは企業や農家が消費者の求める製法や原材料の情報を開示し、情報の不釣り合いをなくしたうえで消費者の選択に委ねる――つまり信頼関係を築いて市場の力を使うことです。 世界保健機関(WHO)の宮城島一明食品安全・人畜共通感染症部長(55)は「リスクコミュニケーションに誰が手間をかけるかを考えねばならない」と話しています。企業や農家任せでなく消費者も食の安全について知識を身につけ、安全の向上に伴うコスト負担を受け入れる覚悟が求められています。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASM108H0D_T00C16A5SHA000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: http://www.j-abc.com/blog/-gene-altered-foods-demand-fine-grained-thinking-on-safety-in-japan
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