日本経済新聞によれば、経済産業省は地熱発電の普及に向け、開発段階の支援制度を拡充するようです。これまで企業に任せていた有望地点を探す初期の掘削調査を、2020年度から国が石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じて代行し、企業の負担を大幅に軽くします。リスクが大きい開発初期の調査を国が主導することで民間が積極的に参画できる環境をつくりたい考えです。
地熱開発は長期の官民の関与が必要だ。掘削して地下構造などをはかる「初期調査」に約5年、発電に必要な蒸気の噴出量をはかる「探査事業」などに約2年かかる。その後、事業化する判断をした後も、環境アセスメントや発電所の建設などに7年程度かかる。 中でもリスクが大きいのが初期調査だ。地面に穴を開け、発電に適した地層の構造になっているか、企業が1回あたり数億円かけて入念に調べる必要がある。ただその結果、地層が発電に適していなければ失敗に終わる。調査はこれまでも国が費用の一部を補助していたが、企業側からは国がより関与すべきだとの声が多かった。 JOGMECは初期調査のうち、地中に発電に不可欠な熱水や蒸気が十分に含まれているかの調査を代行する。期間は20年度から6年程度としたい考えで、企業が将来計画をたてやすくする。 企業が掘削に慎重なのは、多方面との調整作業が難航しがちという事情もある。 地熱に適しているとされる地域の多くは、国立公園や国定公園のなかにある。そこで掘削をしようとすると、近くの温泉などへの影響を懸念する地元自治体や、環境省、林野庁などとの難しい調整が必要になる。こうした調整を経産省やJOGMECが担うことで、開発に向けた調整がスムーズになる可能性がある。 政府は全電源に占める再生エネルギーの比率を、17年度の16%から2030年度には22~24%まで引き上げる目標を掲げる。経産省は地熱の潜在力に再注目し、支援拡充にカジを切る。 太陽光や風力、水力発電など他の再生エネルギーの普及策も急ぐが、いずれも限界がある。地熱には日射量や風量といった自然条件に左右されず安定的に発電できる利点がある。燃料費がかからず、長期稼働できるため、長期的には発電コストが安いのも特徴だ。発電の際に生まれる熱水を利用して、ハウス栽培や養殖事業に生かす地域もある。 日本は米国、インドネシアに次いで世界第3位の地熱資源量を誇るが、開発が進んでいない。10年以上かかるとされる開発の初期のリスクを国が引き受けることで、導入促進につなげる。地熱は風力などと同様に、環境アセスメントにかかる期間の長さも企業から不満があがる。経産省はアセス期間短縮に向けた施策も検討する。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49737160S9A910C1EE8000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: https://www.j-abc.com/blog/geothermal-power-in-japan-set-to-heat-up-as-government-drills-in
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