日本経済新聞によれば、インドネシアの牛肉市場を巡る外食・食品大手の動きが活発になってきたようです。焼き肉の「牛角」などを経営するコロワイドは5年で現地店舗を8倍に増やす計画で、伊藤ハムはニュージーランドからハラル対応の牛肉製品を供給する計画のようです。イスラム教徒が多く、豚肉が避けられるインドネシアでは牛肉需要が10年で2倍に急増。国内農家を保護する輸入規制が緩められれば、人口2億5千万人の大国の食欲が牛肉争奪戦に火をつける可能性があるとのことです。
首都ジャカルタ郊外にある「イオンモール」の飲食店フロア。コロワイドが展開する焼肉店「牛角」は連日、家族やカップルでにぎわいます。大人1人で約40万ルピア(約3400円)と、現地の物価水準から考えれば高価なカルビや牛タンの食べ放題コースが人気です。 昨年秋に同国第2の都市スラバヤに初出店したコロワイドの「しゃぶしゃぶ温野菜」は開店2週間で「1カ月の計画だった売り上げを達成しました」。「牛角」や「温野菜」で現在の計6店を年内に14店に拡大。2020年に50店体制を目指すとのことです。 1人当たり国内総生産(GDP)が年3千ドル(約35万円)を超えた同国の食卓に変化の兆しが見え始めました。新興国では所得増で鶏肉から豚肉、牛肉へと需要が移るのが一般的。人口の9割がイスラム教徒の同国は、豚肉が避けられるだけに牛肉への引き合いが強いようです。 インドネシア農業省によれば、昨年の牛肉消費量は前年比10%増の約65万4千トン。10年で2倍近くに増えました。1人当たり約2.6キログラムと日本の約6キログラムを下回りますが、10年以内に4キログラム程度に増えるとの予測があります。人口を考えれば日本市場を逆転する可能性が大きいようです。 和牛の血を引き、霜降りで柔らかい牛肉を「WAGYU(ワギュー)」の名称で売り物にする店も現れました。地場ステーキ店「ホーリーカウ」はオーストラリア産を調達し、約14万~30万ルピアのメニューで提供しています。同店に卸す牛肉輸入大手、アンジンドのクスワンディ・ワンギジャヤ社長は「富裕層と中間層の間で人気が高まり、需要に追いつかない」と話しています。 日本の外食大手ではコロワイド以外にも、ステーキ店「ペッパーランチ」を出店するペッパーフードサービスが昨年末で同国に43店を出店しており、20年までに60店ほどに増やすようです。吉野家ホールディングスも牛丼チェーン「吉野家」を昨年末時点で48店展開。昨年1年間で13店増やしました。 ジャカルタ郊外に住む女性会社員は「牛肉好きの夫のために、屋台などで牛肉の煮込みやシチューを買って帰ることが多くなった」と話します。 課題は牛肉の調達です。コロワイドは今年の牛肉調達量が昨年の10倍以上になるとみています。 約600万戸とされる国内の肉用牛農家の大半は零細で、需要の急増に対応できないとのこと。そこで注目を集めるのが畜産大国の豪州とニュージーランドだ。食品各社はインドネシアに近い両国を「橋頭堡(きょうとうほ)」として輸出拡大を狙います。 伊藤ハムは昨年3月、35億円を投じてニュージーランド食肉大手のアンズコフーズを子会社化しました。同社の国内7カ所の牛・羊肉処理施設は全てハラル認証を取得済みで「インドネシアへの輸出に有利だ」(伊藤ハム食肉事業本部)。インドネシアに売るには、豚肉と処理施設を分けるなどのハラル対応が重要とのことです。 豪州で5番手の牛肥育事業者である丸紅も4600ヘクタールの牧場で4万頭を飼養します。野村和伸畜産部長は「インドネシアは有望市場。本格参入を視野に現地パートナーを探している」と話します。 生体牛の取扱数量で豪州首位のウェラードも、インドネシアなどのアジア市場に照準を絞ります。1隻で1万頭の生体牛を運べる専用船を2隻新造中で、マウロ・バルツァリーニ最高経営責任者(CEO)は「アジアで拡大する需要をつかむ」と力を込めています。 http://www.nikkei.com/article/DGXLZO97001850V00C16A2FFE000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください。: http://www.j-abc.com/blog/-japanese-companies-cater-to-beef-hungry-consumers-in-indonesia-and-importing-beef-from-aus
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