本日付の日本経済新聞によれば、IHIは20年ぶりに航空機事業の工場を国内に新設するようです。格安航空会社(LCC)の登場などで需要が広がるエンジンの整備を担い、投資額は100億円程度。日本の航空機産業は翼や胴体など部品の製造で米欧航空機大手の主要サプライヤーとなり、将来の基幹産業としての期待が高まっています。保守業務も市場が広がる見通しで、航空機事業に投資する国内メーカーの動きが強まりそうです。
日本航空機開発協会の予測によると、世界のジェット旅客機の運航機数は2034年に14年に比べて9割増え、約3万7千機になるようです。アジアを中心とする新興国の需要がけん引し、退役する機材を新規導入が大幅に上回るためです。各国・地域の航空自由化を受けて台頭するLCCは外部への業務の委託比率が高いのが現状です。保守など関連産業の裾野も広がり、IHIは需要を取り込む狙いがあるようです。 新工場は埼玉県が保有する鶴ケ島市の約40万平方メートルの敷地に設置する計画。100億円程度を投じて18年度をメドに稼働する予定で、IHIが航空事業の工場を新設するのは福島県相馬市に設けた1998年以来となるとのことです。保守・点検を手掛ける整備工場として200~300人を雇用する計画。航空事業の拠点としては国内4カ所目で敷地面積では最大となります。 エンジンを機体から外して持ち込み、点検や消耗品を交換する補修作業を担います。旅客機のエンジンは米ゼネラル・エレクトリック(GE)や英ロールス・ロイス、米プラット&ホイットニー(P&W)が高シェアを握るが、タービン翼など高精度の加工が求められる部品の多くをIHIや三菱重工業が手掛けています。IHIはエンジンの構造に詳しい強みを生かして国内外の航空会社から受注を重ねたい考えです。 製造業は機器を供給する単品売りだけでなく保守やメンテナンスなど付加価値のあるサービス業務に注力する傾向が強まっています。保守業務は機体の数が増えるほど需要が大きくなり、安定した市場成長が見込まれます。IHIは民間エンジン事業の売上高に占める保守比率は約4割ですが、10年後に6割に高める狙いがあります。 日本の製造業が内需縮小をにらんで国内投資をためらう中、航空機産業は積極的な投資姿勢が目立っています。米ボーイングや欧州エアバスの主要サプライヤーの位置を占めて部品供給を拡大しています。川崎重工業はボーイング向けに岐阜県の工場で240億円を投じ、三菱重工も300億円弱を広島製作所(広島市)に投資するとのことです。 三菱航空機(愛知県豊山町)は国産ジェット旅客機「MRJ」を開発しており、今後は中小部品メーカーの育成も進む見通しで、国内の航空機産業で機体や主要部材の製造、保守メンテナンスまで幅広く扱う体制が整うとのことです。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ23H24_W6A420C1MM8000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: http://www.j-abc.com/blog/-a-major-jpn-company-to-build-first-jet-engine-facility-in-japan-in-20-years
0 Comments
Leave a Reply. |
ニュースレター
配信登録 著者木名瀬 晴彦 アーカイブ
January 2021
カテゴリー
All
|
Getting Around
|