日本経済新聞によれば、東芝は主力の半導体メモリー工場の生産管理にAI(人工知能)による分析システムを取り入れたようです。深層学習(ディープラーニング)を使い、生産性低下の要因を見つけるための時間を3分の1に減らすのが狙いです。半導体は細かい作業も合わせると工程が2万にも及ぶうえ、回路形成から製品化まで3カ月程度かかるとされています。AIによる生産性向上の余地が大きいと見られており、同様の動きが広がりそうです。
四日市工場(三重県四日市市)で、投入原料に対する完成品の割合である「歩留まり率」などを監視するシステムにAIを導入しました。半導体の回路を形成するウエハーの不良部分をAIを使って自動で分類したり、不良原因の候補検出や発生状況の傾向分析などを自動化します。 これまでは露光や研磨といった主要工程ごとにウエハー表面の温度や電圧のデータを集め、技術者が分析していました。AIを試験導入したところ、不良品ができる工程や設備の発見にかかる時間が、従来の5~6時間から2時間以内に短縮できたということです。 2016年度中にウエハーの欠陥検査にもAIによる分析を取り入れます。事前に欠陥があるウエハーなどの画像情報を読み込んで深層学習で分析。わずかなゴミや表面の色の異常を自動で検出できるようにします。今後は他の工場への導入を検討するほか、ノウハウをまとめて製造業にシステムを外販することも視野に入れるということです。 半導体は先端技術の転換サイクルが早く、回路の集積度を高める微細化など技術は年を追うごとに高度化し、生産工程は複雑さを増す一方です。それだけに、AI活用による効率化の余地が大きいと見る企業は多いようです。 ソニーは05年から半導体の製造にAI分析を取り入れ、不良品の原因を特定しています。長崎工場(長崎県諫早市)では歩留まりが3%向上し、年間36億円のコスト削減に貢献しているといいます。画像センサーを手掛ける熊本工場(熊本県菊陽町)でも活用します。ルネサスエレクトロニクスもウエハーに特殊なガスをあてる際の表面の状態を電圧の高低から読み取り、不良品発生を予測します。 東芝は会計不祥事からの経営再建に向けて半導体事業をエネルギー、社会インフラと並ぶ柱と位置付けています。NAND型フラッシュメモリーには3年間で約8600億円を投資。四日市工場では7月に次世代メモリーの新しい製造棟が完成します。 17~18年度にかけてさらに1棟追加する製造棟では立ち上げ時からAIを活用します。生産性を引き上げて韓国サムスン電子にコスト競争力で優位に立ちたい考えです。 http://www.nikkei.com/article/DGKKZO0419056029062016TJC000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: http://www.j-abc.com/blog/-toshiba-taps-ai-to-boost-productivity-at-memory-plant
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