日本経済新聞によれば、2000を超える人数の研究者を抱える産業技術総合研究所(国内最大級の政府系研究機関)が、Jリーグ1部の鹿島アントラーズFCと包括連携協定を結びました。産総研の瀬戸政宏フェローは「サッカースタジアムは研究テーマの宝庫」と語ります。異色のタッグはどんな実りをもたらすのでしょうか?
「試合後の観客の動きをシミュレーションしてみましょう」。産総研の担当者がキーボードをたたくと、パソコンの画面にアントラーズの本拠地、カシマサッカースタジアム(茨城県鹿嶋市)のスタンドを模した図が映し出されました。最初は赤い点ばかりでしたが、徐々に緑の点が出始めました。 赤は混雑していて進まない様子を、緑はスムーズに動いている様子をそれぞれ示しています。「やはり最大で4万人も収容するスタジアムだと人の動きも鈍くなりますね」。緑が増えていかない画面を見ながら担当者は語ります。 これは、人工知能(AI)を使って人の流れを分析・予測する「人流解析」と呼ばれる技術の一端。産総研はこの技術を使ってスタジアムの今の誘導経路が効果的かどうかを2018年のシーズンから計測する計画です。 アントラーズの試合が終わると、スタジアムとその周辺は大混雑となる。どうすれば人の流れをスムーズにして事故を防止できるのかは、チームを運営するクラブにとって課題の1つです。 産総研はまずスタジアム内の人の通行量や動線をセンサーやカメラなどで計測します。人流解析技術を駆使し、どんな対策をとれば混雑が和らぐかをソフトウエアで模擬的に再現します。混雑が緩和されれば事故防止だけでなく、観客が売店に立ち寄りやすくなり、売り上げ増にもつながります。 産総研には新国立劇場(東京・渋谷)で「避難体験オペラコンサート」を2度実施、人の流れを解析した実績があります。 大規模地震が起きたとの想定で、1000人以上の観客が避難する様子を計測しました。集めたデータをもとに観客が歩く経路の傾向や、どの扉を開ければ円滑に人が流れるかを分析しました。2度目のコンサートで試したところ、初回より避難時間を短縮できたということです。 https://www.nikkei.com/article/DGXKZO22698020V21C17A0X11000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: https://www.j-abc.com/blog/japans-research-giant-using-ai-to-control-huge-crowds
0 Comments
Leave a Reply. |
ニュースレター
配信登録 著者木名瀬 晴彦 アーカイブ
March 2021
カテゴリー
All
|
Getting Around
|