日本経済新聞によれば、トヨタ自動車やNEC、理化学研究所など20以上の企業と研究機関は、医療や製造現場を支える人工知能(AI)を産官学共同で開発するようです。都内に研究拠点を設け、各社が様々な場面で使いこなせる共通の基幹技術を作ります。AIの応用は、米国のグーグルなどが数千億円を投じて新市場を開きつつあります。日本も幅広い連携で技術力を高め、直面する高齢化や生産性低迷の課題解決に生かすようです。
理研の革新知能統合研究センターがAI研究拠点を9月1日に東京駅近くに開きます。ここにトヨタ、NEC、ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL、東京・品川)、NTT、AI開発ベンチャーのプリファード・ネットワークス(東京・千代田)の研究者らが合流します。 連携期間は10年間。まず2017年度予算の概算要求に理研を所管する文部科学省が100億円規模の関連経費を盛り込む見通しで、企業側も数億円規模で負担する見込みです。 開発するのは、現在主流のAIが膨大なデータを必要とするのに対し、データが限られても用途に応じて人間では気づかない最適解を見つける基幹技術です。これを生かして製造業のてこ入れや医療の効率化、老朽化するインフラの管理などに応用できる「課題解決型AI」を各社が作り込むようです。 トヨタやNECは、ものづくりやインフラ管理などの分野を中心に理研と連携します。ものづくりの現場で使うAIは、工場の設備ごとに取り付けたセンサーのデータから熟練の作業員でも見分けるのが難しい故障の予兆をとらえます。生産ラインも無駄を徹底して省き、工場の稼働率を高めます。 ソニーCSLは、医師が気づかない治療法を助言できるシステムを作ります。電子カルテから患者の症状を詳しく解析し、一人ひとりに合う治療法を提案して医療費の増加を抑えます。 東京大学や京都大学など15大学以上とも連携し、参加機関は今後も増えるとみられます。研究成果は2~3年後から順次、現場で実用化していくようです。 政府はAIを日本の成長戦略の柱に位置づけています。日本が抱える人口減少や技能者の不足といった課題をAIの活用で乗り切る方針を打ち出しています。 4月には文科、経済産業、総務の3省がAI研究で連携し、まず理研に革新知能統合研究センターを設けました。トップに40代の東京大学教授を抜てき。国内外の研究機関からまず約30人の研究者を集めました。将来は100人規模に増やす予定です。 国内企業のAI研究はトヨタが米スタンフォード大学などと連携し、NECや日立製作所なども国内の大学と共同研究拠点を立ち上げていました。 今回、産官学で連携するのは、少数の産学連携ではAIの進歩に対応できないからです。政府は組織の枠を越えた協力を促して日本の技術力を底上げする。参加する企業は研究成果を持ち帰り、事業に生かせる利点があります。 世界のAI関連市場は、米調査会社の調べで企業向けの製品だけでも2015年の2億250万ドル(約200億円)から24年には111億ドル(約1兆1千億円)に急増するとみられています。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG18H15_Y6A810C1MM8000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: http://www.j-abc.com/blog/-japan-making-push-for-ai-led-medicine-manufacturing
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