日本経済新聞によれば、訪日外国人による消費が力強さを増しているようです。観光庁が21日発表した7~9月の消費額は前年同期比82%増の1兆9億円となり、四半期として初めて1兆円の大台にのりました。訪日客が534万人と最高を更新し、1人当たり支出も前年同期比18%増えました。円安や免税品の拡大を背景に通年の消費は3兆円を超える勢いですが、中国景気の減速でどこまで持続するかは不透明のようです。
旅行消費額は1~9月の累計で前年同期比77%増の2兆5900億円に達し、過去最高だった昨年の通年実績(2兆円強)をすでに上回りました。観光庁の田村明比古長官は同日の記者会見で「今年の消費額は3兆円を超える見通し」と述べました。 消費額が増えた最大の理由は訪日客そのものの増加です。日本政府観光局(JNTO)が同日発表した9月の訪日客数は前年同月比47%増の161万人。観光庁によると今年1月から累計は10月9日時点で1500万人を突破。昨年の通年実績(1341万人)を上回り、年間では2000万人の到達が視野に入っています。 訪日客1人当たりの旅行支出も増えています。中国人客は7~9月に前年同期比19%増の28万円を支出。このうち14万円を買い物代に充てました。観光・レジャー目的の中国人の日本での宿泊日数は平均6.1泊となり、前年同期の5.7泊から拡大。旅行期間の長期化が1人あたり消費の増加につながったとみられます。 小売りの売り場では日本人の消費者より訪日客が目立ちます。日本百貨店協会がまとめた9月の訪日客の購入額は前年同月の2.8倍。家電や衣料品などに限定されていた免税対象商品が、14年10月に化粧品や食料品など消耗品にも広がった影響が大きいようです。 高島屋は中国の国慶節(建国記念日)に伴う大型連休(10月1~7日)の期間に、中国人客による免税売上高が前年同期の2倍を超えました。スキンケア商品を中心とした化粧品が好調で、全体の4分の1を占めました。 宝飾大手のミキモトでは銀座本店(東京・中央)の7~9月の免税売り上げが前年同期に比べて2割増えました。日本産の真珠を使った宝飾品が人気。「数千万円のネックレスも売れており、旺盛な訪日客の需要は変わらない」(同社)といいます。 三陽商会の銀座の直営店「三陽銀座タワー」(東京・中央)では、ビル全体の売上高の半分以上を訪日客需要が占めています。素材や縫製を国内で手掛けるコートが中国人などに人気のようです。 高級品ばかりではありません。靴販売大手、エービーシー・マート(ABCマート)は中国人が決済に使う銀聯カードの取扱高が9月単月で前年同月比4倍以上に増えました。 ただ中国景気の減速で、この流れが今後も続くかどうかは不透明のようです。訪日客消費は為替の影響が大きいとみられ、みずほ証券は「1%の対元での円高で訪日客数は0.6%減り、1人あたり消費は0.8%減る可能性がある」と分析しています。 訪日客消費の47%は中国人が担うだけに、田村観光庁長官は「(中国訪日客)一辺倒では持続的ではない」と警戒しています。 これまでの訪日客増は中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)で韓国旅行を敬遠した中国人が流れてきた面もありました。 ニッセイ基礎研究所の三尾幸吉郎氏は「韓国を訪れる中国人観光客は9月に日本を上回るまで回復しており、今後は競争が激しくなる」とみています。 http://www.nikkei.com/article/DGXKASDC21H08_R21C15A0EA2000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください。: http://www.j-abc.com/blog/-spending-by-foreign-tourists-in-japan-seen-topping-us8-billion-this-year
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