日本経済新聞によれば、国土交通省は人手不足が深刻な宅配便を含む物流分野で企業の効率化を支援するようです。少ない人手で大量の荷物を運べる鉄道や船を使ったり、異なる企業が共同配送したりする30計画が固まりました。ヤマト運輸が27年ぶりの値上げを検討するなど人手不足の影響が広がり始め、国交省は労働生産性2割引き上げを目標に業界を後押しし、国民生活への影響を抑える構えのようです。
国交省は昨年10月に改正物流総合効率化法を施行しました。トラック運転手などの省力化につながる計画を立てた企業を税制や補助金で支援するもので、13日までに15の計画を認定しました。これとは別に効率化の計画策定のため最大200万円の補助金を交付する事業も15あります。 支援対象で目立つのは輸送手段をトラックから鉄道や船舶に切り替えるモーダルシフトです。物流大手のセンコーは千葉県から大阪府にトラックで運んでいたアパレル商品を鉄道で送る計画をつくりました。年1540時間の運転時間を減らす効果を見込んでいます。佐川急便などは東京から北海道へ航空機で送っていた生鮮品を鉄道輸送に変えます。鮮度を維持できる新型コンテナを使うとのことです。 物流施設の配置を見直して、効率的な輸送ルートを構築する動きもあります。伊藤忠商事系の日本アクセスはコンビニ向け商品の配送で物流センターを新設します。トラック営業所を併設して、ドライバーの待ち時間を55%削る狙いがあるようです。 宅配便の効率化ではヤマトや西濃運輸が昨年、神奈川県藤沢市でエリア内の共同配送を始めました。和歌山電鉄が旅客車両で宅配便を輸送します「貨客混載」を計画しているほか、佐川急便と日立物流は千葉県内で宅配便の集荷方法を見直します。荷主の事業者内で荷さばきし、トラックが営業所に立ち寄る手間を省きます。年1万時間ほどの運転時間を削る効果があるということです。 長時間労働のイメージが強いトラック運転を敬遠する若者が多いことが慢性的な人手不足の一因です。トラックは荷台の積載率が5割に満たず、荷物の積み下ろしで長時間待たされるなど、効率が悪い面もあります。国交省は働き手確保の観点からも荷主を含めた意識変革を促し、労働生産性を大幅に引き上げたい考えのようです。 国交省は2015年末にまとめた報告書で「我が国の物流は危機的な状況に直面している」と警告し、生産性の向上を訴えました。しかしその後も事態は改善せず、ヤマトが宅配便の総量抑制や値上げを検討せざるを得ない状況に追い込まれました。物流は経済の血液に例えられます。実体経済への悪影響を避けるには、官民の一段の努力が欠かせません。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS13H3G_T10C17A3EE8000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: https://www.j-abc.com/blog/-japan-to-help-logistics-industry-keep-on-truckin
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