日本経済新聞によれば、2050年に向けた国の長期エネルギー戦略の概要が分かりました。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に基づく脱炭素社会に向け、太陽光など再生可能エネルギーを主力電源化する方針を明記。安定供給に向けて蓄電池や水素の技術を集中的に開発すると打ち出します。原発は「脱炭素化の選択肢」としながらも依存度を低減。多様な技術を組み合わせて情勢の変化に対応します。電源構成の数値目標は示していません。
長期戦略は経済産業省のエネルギー情勢懇談会で協議しており、4月にも最終案をまとめます。今夏の閣議決定をめざすエネルギー基本計画に反映させる方向。同計画は主に30年までの政策の方向性を示すが、その先をにらんだ政府戦略となります。 太陽光や風力など再生エネは価格低下とデジタル技術が進んで「主力化への可能性が大きく拡大している」と分析。一方で天候などに左右されるリスクの耐性を強化する必要性を強調しています。 解決手段としては、再生エネと組み合わせて出力の変動を補ったり、余ったエネルギーをほかの用途に活用したりできる蓄電池や水素技術の革新をあげます。ITによる電力システム刷新のほか、再生エネの大量導入を受け入れられる送配電網の整備や効率化を急ぎます。 30年以降は温暖化対策や国際情勢の動向、再生エネや原発政策の進捗状況を勘案する必要性が増します。戦略案では再生エネを主力としつつ、多様な電源を最適に組み合わせていきます。原子力、液化天然ガス(LNG)、水素など柔軟に活用します。 原発は「脱炭素化の選択肢」としますが、廃炉や廃棄物処理の対処、社会的な信頼回復が必要と指摘。新増設や建て替えの直接的な表現は見送ります。一方で「安全性や経済性などに優れた炉の追求」と一定の余地を残します。 火力発電など化石エネルギーは「過渡期における主力」とし非効率な石炭火力などは順次廃止します。 再生エネの主力化と並行して、リスク対応力を強化します。太陽光パネルは中国企業が世界シェアの上位を占めます。風力発電機も海外勢が強いです。1つのエネルギーに依存すれば、部材供給途絶や価格高騰などに弱い構造をつくりかねないからです。 原子力や水素、蓄電池で市場シェアや技術力をもつ日本企業は多く、再生エネと組み合わせて使い、企業の競争力を維持する狙いもあります。 電源構成は14年の基本計画策定後に「30年度に原発20~22%、再生エネ22~24%」をめざしてきましたが、長期戦略で目標値は示しません。一方で、政府に新組織をつくり、科学的に分析し最適なエネルギー選択の判断材料を示す「科学的レビュー・メカニズム」を始めます。 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO28748970Z20C18A3MM8000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: https://www.j-abc.com/blog/renewables-to-form-core-of-japans-new-long-term-energy-strategy
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