The Australian Financial Review紙によれば、オーストラリアのアデレードにある企業が、シリコンを使った蓄電装置を開発しました。企業からの発表によれば、リチウムイオンバッテリーと比べてコストが1/10で、同量の蓄電ができるということです。現在、この企業は1,000万豪ドル規模の株式上場を検討しています。
この技術を開発したのは、1414 Degreesという企業で、この技術はもともとはCSIRO(オーストラリア連邦科学産業研究機構)の研究で特許化した技術でした。同社はアデレードのイノベーション施設で、プロトタイプの溶融シリコン蓄電装置を建設し、テストを継続しています。 同社の会長は、「溶融シリコンの70センチメートル立方体に、500 KWhのエネルギーを蓄えることができ、これは同じスペースで住宅に設置されているテスラ製の14KWh のPowerwall 2(リチウムイオンバッテリー)と比べて、36倍のエネルギーを蓄えることができる。」と述べています。 また、「違う視点から比較してみると、10MWhの蓄電装置を、当社のシリコンバッテリーであれば70万豪ドルで製作できる。一方で、テスラ製の714 Tesla Powerwall 2sの場合は、10MWhの蓄電をする場合、700万豪ドル(10倍の費用)がかかる。」と述べています。 「もちろん、単純には比較できない。しかし、このような比較を見るとリチウムイオンを使った蓄電池は、経済性がない。」と述べています。 同社は、今後の初期資本の2億豪ドルについて、すでに5,000万ドルの調達を済ませ、残りについては来月末までに調達する予定ということです。また、いくつかの農家とも技術のトライアルについて話を進めており、今後、200MWhの能力を持った蓄電装置2基を建設するのに必要である1,000万豪ドルの費用を調達するために、株式上場を計画しています。 同社の担当者は、「この技術は全く新しい技術のために、40~50%の初期開発費用については、政府からの補助金で賄ってきた。この装置では、シリコンの融点1,414℃まで純粋なシリコンを加熱してエネルギーを蓄える。この装置からのエネルギー供給は、熱交換装置を通して、熱から電力に変換し、排熱をリサイクルするなど、エネルギーを有効利用する。」と述べています。 純粋なシリコンは、青い灰色にきらめく "メタロイド"で、金属と非金属の特性を示す物質です。また、製錬石灰石の副産物であり、豊富で安価であるのが特徴です。また、1414度の融点で安定であり、十分な断熱性を持って1週間または2週間熱を保持することができるため、蓄電媒体としてはかなり魅力的のようです。 もしこのシリコン蓄電装置が実用化されれば、風力や太陽光を使った発電の蓄電を安価で行うことが出来る画期的な発明となります。また、断続的な発電が円滑に行われるために、9月に南オーストラリア州を襲ったような嵐の中で停電が発生し様な事態を防止するのに役立ちます。 http://www.afr.com/news/silicon-will-blow-lithium-batteries-out-of-water-says-adelaide-firm-20170207-gu7eg7 この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: http://www.j-abc.com/blog/-silicon-will-blow-lithium-batteries-out-of-water-says-australian-firm
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