朝日新聞によれば、2016年度に印刷される1万円札の枚数が12億3千万枚になることが、財務省の計画で決まったようです。前年度の1・17倍で、1億8千万枚、1兆8千億円相当を増刷します。世の中に出回る現金の総量が伸びており、1万円札が突出して増えていることに対応するようです。背景には、「タンス預金」の広がりもあるとのことです。
ここ5年の印刷枚数は年10億5千万枚で変わりませんでしたが、新札切り替えの対応が続いていた6年前の水準に並ぶとのこと。お札全体の印刷枚数は30億枚と前年度と変わらず、1千円と5千円の印刷を減らすようです。 日本銀行の統計によると、2月の現金の総流通量は90兆3千億円で、前年2月より6・7%増えました。03年以来、13年ぶりの高い伸びでした。なかでも、1万円札は6・9%増と伸びが目立ちました。5千円札は0・2%増、1千円札は1・9%増でした。 1万円札を増刷する背景には、マイナンバー(社会保障・税番号)制度や日本銀行のマイナス金利政策を意識した動きがありそうです。第一生命経済研究所の熊野英生氏は「『当面は物価が上がらないから、現金で持っていても何の損もない』という心理に加えて、マイナス金利はいつまで続くかわからない。資産運用をあきらめ、死蔵されている」と指摘しています。国内のタンス預金の残高は、40兆円ほどと試算しています。 現金の総流通量は、マイナンバーの番号の通知が始まった昨秋に前後して伸びました。エコノミストの間では、資産状況を税務当局などに把握されることを嫌がる人が自宅に現金を置いている、との見方が目立ちます。マイナス金利政策のもとでは、金融機関に預けても低金利のため、手元に現金を持っていても変わらないとの考え方もあります。量販店などでは「マイナンバー対策」「マイナス金利対策」をうたい、家庭用金庫の販売が好調です。 マイナス金利政策を先行して採り入れているスイスでも、最高額のお札の1千フラン札(約11万6千円)の流通量が増え、投資家が金庫に1千フラン札をためていたといわれています。 ICカードなどの電子マネーが普及し、クレジットカードでの決済が定着していることも踏まえれば、現金を使う場面が大きく増えたとは考えにくいです。今月4日で4年目に入った日銀の過去最大規模の金融緩和策は、出回るお金の量を増やして景気を上向かせようとする考え方ですが、「景気が上向いて賃金も上がっているため、どんどんお金を使おう」という心理にはなっていないようです。 http://digital.asahi.com/articles/ASJ447FH5J44ULFA03L.html この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: http://www.j-abc.com/blog/-japan-to-print-180-million-more-10000-yen-bills-in-fiscal-2016
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