本日付の日本経済新聞によれば、日本で風力発電の導入が加速するようです。国内首位のユーラスエナジーホールディングス(HD)と同2位のJパワーがそれぞれ2020年までに600億円規模を投資します。国内全体の風力発電能力は現在の約3倍、原子力発電設備10基分に増える見通しです。政府は現在の太陽光偏重の是正に動いており、温暖化ガス削減の国際枠組み「パリ協定」で掲げた目標の達成に向け、風力も再生可能エネルギー活用の新たな柱になりそうです。
ユーラスは豊田通商と東京電力の共同出資会社。ユーラスとJパワーの風力発電能力を合計すると国内の約33%(14年度、日経推計)になります。 ユーラスは20年までに計20万キロワット分の風力発電所を新設し、能力を85万キロワットに拡大します。年内に秋田県由利本荘市で4万キロワット級の発電所を着工、高知県大豊町でも開発計画があります。Jパワーも能力を20万キロワット増強し計60万キロワットにします。北海道せたな町や愛媛県宇和島市に発電所を新設します。 政府は温暖化ガス削減目標実現のため、発電量全体に占める再生エネ(水力除く)の比率を現在の約3%から30年度に15%程度にする計画です。 風力発電の稼働率は太陽光の約2倍で効率的に電気を得られます。海上でも発電できます。地熱ほど立地の制約がなく、バイオマス発電のように燃料の木材を確保する必要もありません。ただ、国際エネルギー機関(IEA)によると日本の風力発電の割合は0.5%(14年)と欧米諸国や中国より低いようです。 大型風力発電所の建設には12年に国の環境影響評価(環境アセスメント)が義務付けられ、手続きに4~5年かかるため新規導入が停滞していました。同年に再生エネの固定価格買い取り制度が始まりましたが、同制度で認定された発電設備のうち建設が容易な太陽光が約8千万キロワットと93%を占め、風力は3%にとどまっています。 ユーラスやJパワーは環境影響評価が完了した開発計画を順次実施に移します。日本風力発電協会の推計では15年末に304万キロワットだった導入量は、アセスの進捗などで20年ごろに1千万キロワットに膨らむ予想のようです。政府も大規模太陽光発電所(メガソーラー)からの買い取り価格を引き下げる一方、大型風力の価格は据え置くなど、導入を後押ししています。 海外勢も動き出します。米風力発電大手パターンエナジーは日本の合弁会社を通じ、20年までに国内で計100万キロワットの建設を計画しています。青森県つがる市で国内最大の12万6千キロワットの発電所の着工を準備しています。 4月から電力小売りに参入する新電力の中には、環境負荷が低い再生エネの電気を販売するプランを設ける動きもあります。安定供給ができる発電規模を持つ風力事業者はこうした新たな需要も取り込みやすくなるとのことです。 http://www.nikkei.com/article/DGXKASDZ18I1R_Y6A210C1MM8000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください。: http://www.j-abc.com/blog/-japans-wind-power-capacity-seen-tripling-by-2020
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