日本経済新聞によれば、鉄鋼原料価格が上昇しているようです。高炉の主原料となる鉄鉱石は3カ月ぶりの高値をつけ、原料炭も節目の1トン100ドルに乗せました。電炉で使う鉄スクラップも堅調な値動きが続いています。中国で鋼材価格が上昇しているうえ、供給過剰に歯止めがかかりつつあります。原料高が進めば鉄鋼メーカーは一段の値上げを迫られる可能性もあるようです。
鉄鉱石のスポット(随時契約)価格は1日に1トン60ドルを上回り、6月上旬に比べて25%高くなりました。原料炭も一時、約1年4カ月ぶりの高値となる103ドル前後まで上昇しました。 粗鋼生産で世界首位の中国では1~6月に固定資産投資が大幅に増え、政府主導で鉄道網などのインフラ投資が加速しています。鋼材の価格も上昇に転じ、6月の1日あたり粗鋼生産量は過去最高となりました。 中国政府は石炭の国内生産を抑制しており、原料炭の輸入は増えています。炭鉱では年間の操業日数を276日以下とする政府の方針を受け「中国の製鉄所は輸入炭に頼らざるを得なくなっている」(大手商社)ということです。 原油相場が下落傾向にある中「投資マネーは上値余地のある非鉄や鉄鋼原料にシフトしやすい」(住友商事グローバルリサーチの鈴木直美シニアアナリスト)。中国ではトレーダーが鉄鉱石や原料炭の在庫を積み増しているということです。 米金融大手ゴールドマン・サックスは、中国からの鋼材輸出は予想よりも堅調で鉄鉱石の需要を押し上げると指摘。7~9月の予想価格を53ドルとし、従来の見通しから2割近く引き上げました。 電炉の鉄鋼原料となる鉄スクラップも1トン2万円が迫り、7月中旬比で1割高くなっています。電炉各社は定期修理で生産量を落としていますが、堅調な輸出が価格を下支えしています。 ベトナムは7月、粗鋼半製品のビレットに2割超の税金をかける緊急輸入制限措置(セーフガード)を正式に発動しました。ベトナム国内の製鉄所は鉄スクラップの輸入にカジを切り、日本からの輸出も拡大しています。 新日鉄住金は鋼材の海外輸出が堅調で、7~9月はスクラップの外部調達を増やすようです。先安観が後退するなか、電炉メーカーにも在庫を積み増す動きが見られるということです。 一方、原料価格は中国の鋼材市況に左右されやすく、一本調子に上昇するとの見方は少ないようです。為替の円高もあり「スクラップの国内価格も上値余地は限られるだろう」(鋼材商社)との声もあります。 http://www.nikkei.com/article/DGKKZO05636150T00C16A8QM8000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: http://www.j-abc.com/blog/-steelmakers-costs-are-on-the-rise-in-japan
0 Comments
Leave a Reply. |
ニュースレター
配信登録 著者木名瀬 晴彦 アーカイブ
March 2021
カテゴリー
All
|
Getting Around
|