日本経済新聞によれば、製造業やサービス、金融など大手中心の17社と大学・高専11校が連携し、今夏から長期インターンシップ(就業体験)の普及に向けた取り組みを始めるようです。大学1~2年生に1カ月以上、オフィスや研究所で働いてもらいます。現在は1~2日間の短期で事実上の採用活動となっている企業が多いのが現状です。学生が実体験を通じて職業観を養うようになれば、横並びで春季に一括採用する日本企業の慣例に影響を与えそうです。
戦後の日本企業は学卒の労働力を社内で教育する前提で一括採用してきました。早期離職を防ぐ年功序列システムが崩れる一方、近年はグローバル競争を勝ち抜くために学生のうちから職業意識を持つ人材育成が必要と判断する企業が増えています。17社は直接の採用活動とは別に、学生と企業をつなぐ長期のインターン制度を日本に取り入れたい考えです。 北海道大や上智大、呉高専など11校が参加し、受け入れ側は花王や富士ゼロックス、三井住友銀行など業種が幅広いのが特徴です。経済同友会が事務局の役割を果たし、参加企業と大学が意見交換して、特定の業界や企業に学生が集中しないようにしました。大学は単位として認定する一方、企業側は自社や業界を知ってもらい、就職活動時のミスマッチを防ぐ効果を期待しています。 夏休み中の8月を中心に実施し、通常の授業の妨げにならないようにします。1社当たり4~5人の学生を受け入れ、参加学生数は約70人の見通し。今夏の実績を踏まえ、来年以降の参加企業や大学を増やす予定のようです。 富士ゼロックスは8月中旬から4週間程度、北大や新潟大など5大学から5人を受け入れる予定です。営業や研究開発の現場業務を体験してもらう予定です。花王は8月末から上智大など5校から5人を受け入れ、都内の本社や工場に配置するとのことです。 米デュポンの日本法人は先行して5月中旬から2カ月程度、呉高専の学生を受け入れます。高機能樹脂部品の開発や品質管理などの業務サポートを体験します。各社は職場に通う交通費や宿泊費といった実費を負担します。来年以降は仕事の内容に見合った報酬も出し、長期インターンを制度として浸透させる仕組みづくりを進めたい考えです。 米国では大学生が数カ月間の長期インターンを経験し、企業から報酬も得ます。企業側は学生の働きぶりを評価して実際の採用につなげるなど、就職活動として認知されています。一方、日本では文部科学省などがインターンを採用活動に結びつけないことを求めています。企業と大学が連携する今回の取り組みにより、キャリア教育と採用活動を両立した長期インターン制度が必要との声が高まる可能性があります。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ11H01_Q6A520C1MM8000/ この記事を英語で読みたい方は、こちらをご参照ください: http://www.j-abc.com/blog/-companies-and-schools-in-japan-team-on-longer-internships
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